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天狐あやかし秘譚
第48章 月下氷人(げっかひょうじん)
「こんなものしか用意できませんで・・・」

平田と呼ばれていた支配人と思しき人物はまだ、ペコペコとしているが、このレベルで、『こんなもの』というのは謙遜である、と信じたい。相変わらず支払等は全て土御門まかせなので、値段などは全くわからなかった。

「今日は綾音はん、大活躍でしたな〜」
食事も半ばを過ぎた頃、土御門が私をおだててくる。

大活躍なんて、とんでもない。私は最後の最後の場面で、疱瘡神と化した真白に無謀にも突っ込んでいっただけで、それ以外は瀬良に守られていたに過ぎない。

蟹は美味しいが、今日の自分の無力さを思うと、本当に嫌になる。
加えて、今回の事件の顛末が顛末だけに、豪華な食事には本当に申し訳ないが、それを素直に楽しむ気持ちにはなかなかなれないでいた。

私が少し俯いたのを見て取ったのか、瀬良が励まそうと、笑って見せる。

「綾音さん・・・そんな顔する必要はないです。疱瘡神に加え、神宝使いを二人も相手取って、なんとか生き延びる、それだけでも大した成果です。通常クラスの陰陽師では疱瘡神など、出会った瞬間に即死・・・ですから」
「せやで!あのとき綾音はんが突っ込んでいったからこそ、膠着した戦局が動いて封印できたんや。もし、綾音はんがいなかったら・・・」

そう、あの時、疱瘡神が封印できた理由、それについては、松江に向かう車中でも一度、話が出たのだ。

疱瘡神と化した真白に最後の攻撃を加えようとダリと土御門がそれぞれ必殺の一撃を放った。しかし、その瞬間、私は言いしれぬ悪寒を感じ、疱瘡神に突っ込んでいった・・・わけだ。そのせいで、私はガッツリ疱瘡神に触れることになってしまい、重度の病に冒され、死に目を見ることになった。

とても役に立ったとは思えない。何もしないほうがマシだったのでは、と思っていた。

しかし、意外なことに、土御門の評価は違ったのだ。

『もし、あのまま、わいと天狐はんの攻撃当たっとったら、場合によってはわいら全滅しとったかもしれん』
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