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天狐あやかし秘譚
第49章 淫祠邪教(いんしじゃきょう)
☆☆☆
「結局、真白たちの血族は1000年以上に渡って、『自分達が日本のために疱瘡神を抑え込む役割を果たしている』と信じ込まされて、ずっと名越の家の喰いもんになってたっちゅうわけや・・・。あ〜胸糞悪!」

本当にそうだ。
名越本家に生まれた子ども達は、何も知らされぬまま、四分家にいいように操られてきたのだ。

女児は生まれたときから、神の如く奉られ、疱瘡神の容れ物になる。そして、また次の容れ物を『作る』ために分家の出来損ないとの間に子を作らされる。
男児は不用品だ。最低限の世話だけされて、早々に家から追い出されてしまう。それは、男児が成長し、名越の分家を作ってしまうと、既存の四分家の『分け前』が減ってしまうからに他ならなかった。事実、明治時代くらいまでは、名越本家に生まれた男子は口減らしなどと言われ、公然と闇に葬られてきたのだ。

こんな歪んだ家で、颯馬と真白は育ったのである。

そして、運が悪いことに颯馬は生まれつきの病気を患っていた。もちろん、名越本家が所有する『足玉』を使えば回復させることは出来たはずであるが、彼らは決してそれをしなかった。いつか、真白に与えなければならない、という事情もあったのだろうが、そもそも、男児は死んでほしいくらいだから、ちょうどよいと思っていたというのだ。

颯馬は、最初から見放されていた子だったのだ。

ところが、どういう運命のいたずらか、真白が颯馬の事を深く愛してしまう。そして、彼女は何かの拍子に『足玉』の存在を知り、そのことを愛する人に伝えたのである。

これが、今回の悲劇の始まりだった。

真白は、おそらく足玉を失うことで自分が疱瘡神と化してしまうことを知らなかった。ただ、愛する兄を救うために、その玉の所在を告げ、兄である颯馬はそれを奪って家を出奔した。颯馬は健康を取り戻し、真白の願いは叶ったかに見えた。

しかし、実際には、彼女の中には疱瘡神が巣食っていたのである。足玉を失った真白は成長するにつれて増大する内なる疱瘡神の力を抑えられなくなっていく。鉄研が言うには、徐々に増大するその力を真白自身も感じていた、というのだ。

自分が、内側から得体のしれない何かに変わっていく感覚。
それはいかばかりの恐怖だっただろう。
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