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天狐あやかし秘譚
第50章 【第11話 管狐】辺幅修飾(へんぷくしゅうしょく)
☆☆☆
「お!お前、宝生前か!?変わらないな〜」
3年生の時、同じクラスだった山本だ。
体型は維持しているものの、やはり年相応のところもある。大分、頭髪が貧しくなっていた。話によると、建築会社に勤務しており、今では二児のパパだそうだ。
たしかに山本と比べれば、私は余り変わらないかもしれない。痩せぎすで髪の毛もまあ普通に残っている。加えて昔から老け顔だったせいか、やっと外見年齢に実年齢が追いついたくらいだ。
「なんか、噂によるとどこぞの大学で教授?らしいじゃん・・・さっすが秀才だな」
山本とは同じクラスだったけど、余り話した記憶はない。向こうは覚えているようだが、私の思い出の中にはほとんど彼のイメージは残っていなかった。
曖昧に笑ってごまかし、料理を取りに行くふりをしてその場を離れる。

周囲を見渡すと、同窓会の参加者は結構いるようで、100人は軽く超えているようだった。ホテルの宴会場を三つくらいぶち抜いての会なので、なかなかに盛況なのではないだろうか。

山本以外からも、あれこれ声を掛けられる。ある程度覚えているやつならいいのだが、やっぱり記憶の彼方に埋もれている人間もいて、そういう時は話題に困ってしまう。どういうわけか、向こうは自分のことを知っていて、『教授だって?』『何教えてるんだ?』などと聞いてくる。なぜだろう、と思ったが、どうやら『宝生前』という変わった姓と、今回の参加者名簿の職業欄に『東山大学教授』と書かれていることが原因らしいとしばらくしてから分かった。

目立って・・・しまっている。
あまり、目立ちたくないのだが。

名簿には島本の名前もあった。
会いたいような、会いたくないような。

ついつい、周囲を見渡してしまうが、もしも容貌があまりに変わっていたら・・・と思うと、思い出は思い出のままにしたい、とも考えてしまう自分がいる。

「あら!宝生前くん」
不意に後ろから声をかけられた。振り返ると、真っ赤なドレスに身を包んだ妙齢の女性が立っていた。

そして、この顔は・・・?

「ああ・・・霧島さん」
「うれしい、私のこと覚えていてくれたんだ!」

そうですね、あなたのことは、別の意味で忘れないです。
霧島遼子さん・・・。

あの時、島本にチョコを渡した女性。その後、島本と付き合った、というところまでは聞いたけど、結末を見届けることはなかった。
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