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天狐あやかし秘譚
第51章 堅忍不撓(けんにんふとう)
「ん?・・・なんか、お前、変な色気あるな。
 なんか違う意味に聞こえるぞ・・・」
大分酔っているんだろう。トロンとした目で私の方を見て、島本が笑った。
こいつ、普段は鈍いくせに、こんなときだけ鋭さを発揮しやがって・・・。

いけない、ダメだ・・・。
そう思った。
でも、高まった感情が、募りに募った想いが、私の中から溢れてしまう。
ああ・・・もう・・・止められない・・・。

「私・・・いや、
 俺は、お前のことが・・・好きだった・・・
 ずっと、ずっと・・・」

お願いだ・・・。
通じないでくれ。
通じてくれ。

相反する想いが胸の中で入り交じる。
バーカウンターのダウンライトの下、テーブルの上で指を組み、頭を下げる。
まるで、祈りを捧げるように。

クスリと、笑い声が漏れた。
島本の声だった。
私が顔を上げると、彼がじっとこちらの目を見つめてきた。
優しい表情、だった。

そんな顔で見られたら、
 受け入れてもらえると、勘違いしそうで・・・。

中学生のとき、初めて出会った時の面影がある。
一緒に過ごした学校生活、
いつも、いつも、お前を見つめていた。
 お前だけを、見ていた・・・。

胸が高鳴る。心臓が痛いくらいだった。
唇が乾き、舌が張り付きそうだ。

お前から、目を離すことができない。

ああ・・・神様・・・神様・・・
どうか、一度だけ、
本当に・・・一度だけ・・・

「島・・・本・・・」

私から、島本から、どちらともなく顔が寄り合い、
ついに、唇が、触れ合った。
温かくて、優しくて、
涙が、出そうだった。

甘い、アルコールの匂い
 柔らかい、唇の感触
遂げられなかった思い
 遂げられることのない思い

そして、苦い・・・後味

「ありがとう、島本」
「宝生前・・・お前・・・」

私の思いを知って、理解って
 多分、自分の性的指向を曲げて・・・。

お前は優しい奴だ。知っていた。
分かっていた。
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