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天狐あやかし秘譚
第52章 【第12話 貧乏神】家徒四壁(かとしへき)

「ここにはすごく助けられています」
上品な箸運び。かなり育ちが良さそうな人ではあるけれども、着ているものはなんとなくパッとしないし、化粧も最小限だった。
「こども食堂、好き」
みゆきちゃんがもぐもぐと丼を頬張りながら藪から棒に言った。確かにそうなのだろう。さっきから満面の笑みだ。清香ちゃんと並んで食べているとまるで姉妹のようだった。
「みゆき、ごはんつぶついてるよ」
お母さんが優しく彼女の口元のご飯粒をとってあげている。ワイワイ話しながら食べるご飯は楽しかった。私も3人兄弟だったので、小さいころは大体こんな感じだった。
おかわり!とみゆきちゃんが席を立つ。
これで、二回目だけど・・・。よく食べる子だな・・・。
じっと見てるのに気づかれたのか、みゆきちゃんのお母さんが恥ずかしそうに顔を伏せてポツリと言った。
「朝、食べられていないんです」
え?と思ったときにはもう、みゆきちゃんが帰ってきて、先程のようなワイワイの話題に戻っていった。朝食べられていない?・・・食べていない、ではなく?
なんだか、ちょっと気になる言い方だった。
きっと早食いなのだろう。一群の中高生たちが、がやがやと部屋を後にする。残ったのは、わたしたちと、隠居したおじいさんだけだった。おじいさんはよく見ると何も食べてはいなかった。単に休憩しているだけなのかもしれない。子ども好きなのか、こちらを見てニコニコと笑っていた。
私達もすっかり食べ終わった。味の方はまあまあ、というところか。清香ちゃんはさすがにおかわりはしなかったが、芝三郎も二回もしていた。お前は朝ご飯、ちゃんと食べただろうが・・・。
「午後、みゆきちゃんはどうなさるんですか?なんか、二人、すっかり仲良くなっちゃったみたいで・・・」
もし、午後もここにいるなら、一緒に遊べれば、と誘ってみた。
「ええ、午後もおります。多分、閉館時間まで。・・・ええと、私は鹿島清美と言いますが・・・。」
あ、そうだ、名乗ってもいなかった。
「私は浦原綾音、この子は芝三郎と清香って言います」
本当は私の子どもじゃないんだけど、説明するとえらい騒ぎになるので、自己紹介は程々にしたい。
上品な箸運び。かなり育ちが良さそうな人ではあるけれども、着ているものはなんとなくパッとしないし、化粧も最小限だった。
「こども食堂、好き」
みゆきちゃんがもぐもぐと丼を頬張りながら藪から棒に言った。確かにそうなのだろう。さっきから満面の笑みだ。清香ちゃんと並んで食べているとまるで姉妹のようだった。
「みゆき、ごはんつぶついてるよ」
お母さんが優しく彼女の口元のご飯粒をとってあげている。ワイワイ話しながら食べるご飯は楽しかった。私も3人兄弟だったので、小さいころは大体こんな感じだった。
おかわり!とみゆきちゃんが席を立つ。
これで、二回目だけど・・・。よく食べる子だな・・・。
じっと見てるのに気づかれたのか、みゆきちゃんのお母さんが恥ずかしそうに顔を伏せてポツリと言った。
「朝、食べられていないんです」
え?と思ったときにはもう、みゆきちゃんが帰ってきて、先程のようなワイワイの話題に戻っていった。朝食べられていない?・・・食べていない、ではなく?
なんだか、ちょっと気になる言い方だった。
きっと早食いなのだろう。一群の中高生たちが、がやがやと部屋を後にする。残ったのは、わたしたちと、隠居したおじいさんだけだった。おじいさんはよく見ると何も食べてはいなかった。単に休憩しているだけなのかもしれない。子ども好きなのか、こちらを見てニコニコと笑っていた。
私達もすっかり食べ終わった。味の方はまあまあ、というところか。清香ちゃんはさすがにおかわりはしなかったが、芝三郎も二回もしていた。お前は朝ご飯、ちゃんと食べただろうが・・・。
「午後、みゆきちゃんはどうなさるんですか?なんか、二人、すっかり仲良くなっちゃったみたいで・・・」
もし、午後もここにいるなら、一緒に遊べれば、と誘ってみた。
「ええ、午後もおります。多分、閉館時間まで。・・・ええと、私は鹿島清美と言いますが・・・。」
あ、そうだ、名乗ってもいなかった。
「私は浦原綾音、この子は芝三郎と清香って言います」
本当は私の子どもじゃないんだけど、説明するとえらい騒ぎになるので、自己紹介は程々にしたい。

