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天狐あやかし秘譚
第52章 【第12話 貧乏神】家徒四壁(かとしへき)
☆☆☆
結論から言えば、こども食堂は誰でも利用ができた。
ただ、入口に『寄付金』を入れる箱があったので、二人が見てない隙にこそっと3000円位入れておいた。

これでも半年前までは赤貧に喘いでいた身だ。おそらく貧困家庭支援のための食堂だ。それを収入がある今の状態で、ただで利用するのは気が引けるというものだ。ひとり1000円として3000円、という計算だった。

みゆきちゃんは『ただ』と思って私達を誘ってくれたのだろうから、そこはそれ、その心遣いを壊さないように、と思っての『こっそり』である。そこまで気を使わなくてもいいのかもしれないが・・・。

こども食堂の今日のメニューは二つだった。

白身魚のホイル焼きとほうれん草のおひたし定食
五色丼とお味噌汁

私はホイル焼きを、子どもたちはみんな華やかな五色丼を注文した。

五色丼はほうれん草、鮭フレーク、炒り卵、鶏ひき肉、キノコなどが載っていて、甘辛く味付けされているようで美味しそうだった。みゆきちゃんが言うようにおかわりもできるようで、その場合は丼を持っておかわりスペースにいけば、食べられるだけよそってくれるようだった。

「まあ、みゆき、お友達?」
私達が注文を済ませると、白いシンプルなブラウスに青いスカートを身につけた30代くらいの女性がやってきた。どうやら、今、こども食堂に入ってきたところの様子だ。おそらくこれがみゆきちゃんのママだろう。

「みゆきがお世話になったみたいで」
深々と私に向かって頭を下げる。

「ママ!清香ちゃんと、芝三郎っていうんだって!遊んでもらった」
にこっと笑うみゆきちゃんの頭を、お母さんが愛おしそうに撫でる。
「良かったわね」
「うん!ママも一緒にご飯、食べよ!」
「そうね」
お母さんも私と同じ白身魚の方を注文していた。皆の分がそろい、早速、いただきますをする。平日の昼間であるせいか、食堂にいるのはさほど多くはなかった。既に試験休みに入っているのだろう中高生くらいの子たちが数人、それから近所の隠居したおじいちゃんみたいな人がひとりいるくらいだった。

みゆきちゃんのお母さんの話によると、この食堂は、夜の方が利用者が多いということだった。夜はさすがに300円の『参加費』がかかるというが、それでも格安だ。
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