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天狐あやかし秘譚
第52章 【第12話 貧乏神】家徒四壁(かとしへき)

ただ、そうは言っても、子どもたちには食べさせなければいけない。
私はダリの方を見た。彼は何を言われるか予想しているようで、すっと目を逸らそうとするが、それを私は許さない。
「ねえ、ダリ・・・この子達、面倒見てくれない?」
強く言う。ダリは、子どもの相手は余り得意ではない。それは知ってるのだが、今は一大事である。役割を交代して、ダリが清美さんと一緒に財布を探す・・・というのはもっと無理だと思うので、しょうがない。
なおも目をそらし気味にするダリに畳み掛ける。
「清美さん、困ってるの・・・ね?お願い!?」
「わ・・・分かった・・・」
はあ、と若干ため息混じりにダリが頷く。見た目は超イケメンだし、妖怪相手にはめっちゃ強気に出るのに、子ども相手にこうも腰が引けるのは、逆にギャップがあって可愛い。
まあ、本人には言わないけど。
「そんな、申し訳ないです」
「いいんです。困った時はお互い様ですし」
とにかく行ってみようというわけで、私と清美さんは、今日立ち寄ったところをチェックすることにした。2月下旬、あたりは日が暮れ始めている。そんな黄昏の道を二人で歩きながら話をした。
「今日は午後、お金を下ろすために『みずき銀行』に行ったんです。それから・・・」
若干言い淀んで、
「ハローワークに行きました。相談員さんに話を伺って・・・それで・・・」
と続けた。
そこから堰を切ったように清美さんは自分の境遇を語り始めた。
もともとはそこそこお金持ちの家庭に生まれ、順調に大学も卒業し、大企業に就職を果たした。そこで知り合った男性と結婚し、みゆきちゃんが生まれ、温かい家庭を築いた。このとき、清美さんは、夫の希望で仕事をやめ家庭に入ることにしていた。夫は会社でも順調に出世し、誰もが羨む順風満帆な家庭生活が続くやに思えた。
しかし、夫が会社内で出世競争に敗れたのをきっかけに、仕事を辞め、起業したことが不運の始まりだった。
私はダリの方を見た。彼は何を言われるか予想しているようで、すっと目を逸らそうとするが、それを私は許さない。
「ねえ、ダリ・・・この子達、面倒見てくれない?」
強く言う。ダリは、子どもの相手は余り得意ではない。それは知ってるのだが、今は一大事である。役割を交代して、ダリが清美さんと一緒に財布を探す・・・というのはもっと無理だと思うので、しょうがない。
なおも目をそらし気味にするダリに畳み掛ける。
「清美さん、困ってるの・・・ね?お願い!?」
「わ・・・分かった・・・」
はあ、と若干ため息混じりにダリが頷く。見た目は超イケメンだし、妖怪相手にはめっちゃ強気に出るのに、子ども相手にこうも腰が引けるのは、逆にギャップがあって可愛い。
まあ、本人には言わないけど。
「そんな、申し訳ないです」
「いいんです。困った時はお互い様ですし」
とにかく行ってみようというわけで、私と清美さんは、今日立ち寄ったところをチェックすることにした。2月下旬、あたりは日が暮れ始めている。そんな黄昏の道を二人で歩きながら話をした。
「今日は午後、お金を下ろすために『みずき銀行』に行ったんです。それから・・・」
若干言い淀んで、
「ハローワークに行きました。相談員さんに話を伺って・・・それで・・・」
と続けた。
そこから堰を切ったように清美さんは自分の境遇を語り始めた。
もともとはそこそこお金持ちの家庭に生まれ、順調に大学も卒業し、大企業に就職を果たした。そこで知り合った男性と結婚し、みゆきちゃんが生まれ、温かい家庭を築いた。このとき、清美さんは、夫の希望で仕事をやめ家庭に入ることにしていた。夫は会社でも順調に出世し、誰もが羨む順風満帆な家庭生活が続くやに思えた。
しかし、夫が会社内で出世競争に敗れたのをきっかけに、仕事を辞め、起業したことが不運の始まりだった。

