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天狐あやかし秘譚
第52章 【第12話 貧乏神】家徒四壁(かとしへき)

☆☆☆
18時少し前にダリが到着した。
「綾音・・・突然、何事じゃ」
そうか、特に芝三郎には事情を説明していなかったから、ダリとしては『とにかく来い』みたいに伝わっているのかもしれない。ごめん。
簡単に、ダリに事情を説明する。妖怪であるダリは、当然、試験もなんにもない暇な身なので夕食をここで摂ることに関してはすぐに納得をしてくれた。
そうこうしているうちに、予想通り18時過ぎに清美さんが帰ってきた。彼女は遅くなったことをしきりに詫びていた。
「今日ね!ばどみんとんとか折り紙したー!」
みゆきちゃんがバッと清美さんに抱きつき、笑顔で今日の報告をする。あらあら、良かったわね、と頭を撫でる清美さんは、優しい母親の顔をしていた。
「それでね、えっとね・・・清香ちゃんのママがジュースくれた」
「え?!」
ちょっとためらいがちに言ったみゆきちゃんの言葉に清美さんが反応する。こちらを見て、またも彼女は申し訳無さそうな表情を浮かべる。
「す、すいません・・・あの、おいくらでしたか?払います!」
そう言って、ポーチを開き、中から財布を取り出そうとする。
「あ、いや、そんな・・・大丈夫ですよ」
余りの慌てように、なんだか悪い気がしてしまう。しきりに恐縮している姿から、物をもらうだけもらって踏み倒すような人ではない、ということはとても良く分かった。これは受け取らないと悪いかな、と思い始めたとき、清美さんの手がピクリと止まった。みるみる顔色が悪くなる。
「お財布・・・!」
「どうなさったんですか?」
「確かに・・・ここに入れたんですけど」
大慌てで中身をひっくり返して探すが、全て出してみても財布は見当たらなかった。
「ど・・・どうしたら・・・」
かなり顔色が悪い。確かに私も財布をなくしたらこんな風になりそうだが、それにしてもカタカタ全身を震わせるほど、というのは異常ではないだろうか。
「とにかく、落ち着きましょう。まずは心当たりを探して、それから、交番に行ってみましょうよ」
落ち着かせようと、言ってみる。ぎゅっと胸に手を押し付けながら俯いている清美さんは、コクリと頷いた。
18時少し前にダリが到着した。
「綾音・・・突然、何事じゃ」
そうか、特に芝三郎には事情を説明していなかったから、ダリとしては『とにかく来い』みたいに伝わっているのかもしれない。ごめん。
簡単に、ダリに事情を説明する。妖怪であるダリは、当然、試験もなんにもない暇な身なので夕食をここで摂ることに関してはすぐに納得をしてくれた。
そうこうしているうちに、予想通り18時過ぎに清美さんが帰ってきた。彼女は遅くなったことをしきりに詫びていた。
「今日ね!ばどみんとんとか折り紙したー!」
みゆきちゃんがバッと清美さんに抱きつき、笑顔で今日の報告をする。あらあら、良かったわね、と頭を撫でる清美さんは、優しい母親の顔をしていた。
「それでね、えっとね・・・清香ちゃんのママがジュースくれた」
「え?!」
ちょっとためらいがちに言ったみゆきちゃんの言葉に清美さんが反応する。こちらを見て、またも彼女は申し訳無さそうな表情を浮かべる。
「す、すいません・・・あの、おいくらでしたか?払います!」
そう言って、ポーチを開き、中から財布を取り出そうとする。
「あ、いや、そんな・・・大丈夫ですよ」
余りの慌てように、なんだか悪い気がしてしまう。しきりに恐縮している姿から、物をもらうだけもらって踏み倒すような人ではない、ということはとても良く分かった。これは受け取らないと悪いかな、と思い始めたとき、清美さんの手がピクリと止まった。みるみる顔色が悪くなる。
「お財布・・・!」
「どうなさったんですか?」
「確かに・・・ここに入れたんですけど」
大慌てで中身をひっくり返して探すが、全て出してみても財布は見当たらなかった。
「ど・・・どうしたら・・・」
かなり顔色が悪い。確かに私も財布をなくしたらこんな風になりそうだが、それにしてもカタカタ全身を震わせるほど、というのは異常ではないだろうか。
「とにかく、落ち着きましょう。まずは心当たりを探して、それから、交番に行ってみましょうよ」
落ち着かせようと、言ってみる。ぎゅっと胸に手を押し付けながら俯いている清美さんは、コクリと頷いた。

