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天狐あやかし秘譚
第54章 和顔愛語(わがんあいご)
☆☆☆
結局、昨晩は二回の深い『まぐわい』を経て、私はダリから大量の妖力を受け取れた・・・らしい。全く実感はない。

しかし、とりあえず、やってみるしかないわけで・・・。

そんなわけでやって来ました、東京ドーム。MLBワールドツアー東京シリーズ2025の最終日。この交流戦のチケットを用意してくれたのは土門さんだったようで、彼女はついでに応援用のドジャーズのユニフォームやメガホン、旗も用意してくれていた。ちなみに席は内野席で、向かって左から、ダリ、私、ひとつあけて、芝三郎、清香ちゃん、みゆきちゃん、清美さんの順だった。

私と芝三郎の間に不自然に空いた席には、私とダリ以外の人の目には映らないけれども貧乏神が鎮座していた。まばらに抜けた白髪交じりの頭髪、シミだらけの顔、所々抜けた歯に、ねずみ色のブルゾンというみすぼらしいファッションの彼は、ぷんぷんと貧乏臭さを振りまいている。本当にこの札でこいつの貧乏パワーを抑えることができるのだろうか?

まあ、ここまで来たら挑戦するしかない。

確か使い方は・・・。

『胸に抱き、身体の中から湧き上がってくる熱を御札に注ぎこむイメージです』
そう瀬良は言っていた。
試合開始が迫っている。私は祭部衆が作ってくれた大ぶりの護符『黄龍の札』を胸に抱く。

熱を・・・注ぎ込む・・・。

熱・・・と考えて、とっさに昨日の『まぐわい』を思い出してしまう。確かに身体の中に熱いものが・・・とか考え始めて慌てて首を振る。いけないいけない・・・集中だ。

御札を抱くと、なんとなく身体の中に熱の核のようなものを感じた。これが『湧き上がってくる熱』かな?これを御札に注ぐ感じ・・・って・・・。

とろとろと御札に熱が移っていっているようなイメージ。そっと目を開けると、御札が金色に光っていた。

『うまくいけば札が発光します。もちろん、これは呪的な光なので通常の人には見えませんが』
瀬良の言っていた光がこれなら、うまくいっているということだろう。

「どう?貧乏神・・・力、抑えられている?」

ちらっと目を開き、小声で隣の貧乏神に話しかける。他の人からすれば誰もない席に向かって話しかけている状態だ。もしこの声を聞かれていたら完全にいっちゃってる人認定間違いなしだ。誰も気づかないでほしい。
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