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天狐あやかし秘譚
第54章 和顔愛語(わがんあいご)

「うーむ・・・どうじゃろなあ・・・。だい・・・じょうぶ・・・かのお」
なんとも曖昧な返事だ。
若干心配だが、まあしょうがない、やれることはこれしかないのだから、やっていこう。
私は再び目を閉じて御札に意識を集中させる。耳から入る音で試合が始まったことがわかる。
「1番 大谷」
東京ドームにアナウンスが響き渡る。初っ端からの大スター登場に、球場内の熱が一気に急上昇した。
『うぉおおおお!!!!大谷じゃあああ!!』
ものすごい声がダリの隣から聞こえてくる。貧乏神の雄叫びだ。そして・・・。
え?何!!?
主観的には握っている御札に身体の中の何かが急激に吸い取られているような、そんな感じ。握っている手が震えてくる。
これ・・・ってもしかして・・・。
「大丈夫か、綾音?」
ダリが心配そうに声をかけてくる。そう、おそらく、貧乏神のテンションが上ったことにより彼の貧乏パワーが増大、それを抑えるべく札が自動的に出力を上げ、それが故に私の中の妖力がものすご勢いで消耗している・・・ということが起こっているらしい。
ちょ・・・あんまり興奮しないでよ!貧乏神!
心の中で毒づく。このペースで私の体内に蓄えられた妖力を消耗されたら、いかに大量の妖力を借りている身とはいえ、9回裏まで保つ気がしない。
最初の大谷の打席は初球をレフトフライに打ち上げたようだ。打球が上がった瞬間の貧乏神のテンションがやばすぎて、意識すら持っていかれそうだった。だが、野手のミットにボールが収まると、まさに青菜に塩の勢いで萎えていった。
はあ、はあ・・・ぜえ・・・ぜえ・・・
こ、これ、意外ときついかも・・・。
ドジャーズの攻撃である1回表は、大谷の後のバッターも打ち取られ、あっという間に三者凡退。そして迎えた1回裏。佐々木朗希投手がマウンドに上がると、また貧乏神のテンションが上がり始める。
『さ!さ!き!ふぁいとじゃああ!!』
ええい!やめい!
札に意識を集中し、体内の妖力の急激な吸収に耐えながら、私は貧乏神に向かって念を飛ばす。しかし、そんな思いが届くわけもなく、ハイテンションの貧乏神の応援は続いていった。
なんとも曖昧な返事だ。
若干心配だが、まあしょうがない、やれることはこれしかないのだから、やっていこう。
私は再び目を閉じて御札に意識を集中させる。耳から入る音で試合が始まったことがわかる。
「1番 大谷」
東京ドームにアナウンスが響き渡る。初っ端からの大スター登場に、球場内の熱が一気に急上昇した。
『うぉおおおお!!!!大谷じゃあああ!!』
ものすごい声がダリの隣から聞こえてくる。貧乏神の雄叫びだ。そして・・・。
え?何!!?
主観的には握っている御札に身体の中の何かが急激に吸い取られているような、そんな感じ。握っている手が震えてくる。
これ・・・ってもしかして・・・。
「大丈夫か、綾音?」
ダリが心配そうに声をかけてくる。そう、おそらく、貧乏神のテンションが上ったことにより彼の貧乏パワーが増大、それを抑えるべく札が自動的に出力を上げ、それが故に私の中の妖力がものすご勢いで消耗している・・・ということが起こっているらしい。
ちょ・・・あんまり興奮しないでよ!貧乏神!
心の中で毒づく。このペースで私の体内に蓄えられた妖力を消耗されたら、いかに大量の妖力を借りている身とはいえ、9回裏まで保つ気がしない。
最初の大谷の打席は初球をレフトフライに打ち上げたようだ。打球が上がった瞬間の貧乏神のテンションがやばすぎて、意識すら持っていかれそうだった。だが、野手のミットにボールが収まると、まさに青菜に塩の勢いで萎えていった。
はあ、はあ・・・ぜえ・・・ぜえ・・・
こ、これ、意外ときついかも・・・。
ドジャーズの攻撃である1回表は、大谷の後のバッターも打ち取られ、あっという間に三者凡退。そして迎えた1回裏。佐々木朗希投手がマウンドに上がると、また貧乏神のテンションが上がり始める。
『さ!さ!き!ふぁいとじゃああ!!』
ええい!やめい!
札に意識を集中し、体内の妖力の急激な吸収に耐えながら、私は貧乏神に向かって念を飛ばす。しかし、そんな思いが届くわけもなく、ハイテンションの貧乏神の応援は続いていった。

