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天狐あやかし秘譚
第55章 不立文字(ふりゅうもんじ)
そしてさらにさらに・・・私は東京ドームがある後楽園から延々電車に乗って綿貫亭最寄り駅までこの格好で運ばれてきた・・・と・・・?

かかかかかか・・・・

顔が紅潮するのを感じる。
は・・・恥ずかしい!

「も・・・もう自分で歩けるから・・・」
お尻が濡れているのさえ見えなければ歩いていても問題なさそうである。ダリが私の言葉を受けて、抱っこ紐を解いて下ろしてくれた。

「お加減は大丈夫ですか?」
「え・・・ええ。大丈夫・・・です」

倒れた事情が事情なだけに、声が裏返りそうになる。ははははと笑って誤魔化している様子が怪しまれないか心配である。

少し歩くと、綿貫亭にたどり着いた。

「今日は本当にありがとうございました。・・・美幸も楽しそうにしていて・・・」
清美さんがペコリと頭を下げる。その横で美幸ちゃんが清香ちゃんとぎゅっとハグし合っていて可愛い。

「みゆきちゃん!また遊ぼうね!」
「うん!芝三郎も!また折り紙教えて」
「任せておくがよい!」
子どもたちも仲良さそうで本当に良かった。清香ちゃんにいいお友達ができたのも本当に嬉しい。

そして・・・

『ほっほっほっほ・・・。儂は満足じゃて』
清美さんの後ろに立つ貧乏神。当然、清美さんや美幸ちゃんには視えてない。
満足って・・・当たり前でしょうが!あんな思いまでして乙女の貞操まで危険にさらしたんだからね!

目を細めて笑う貧乏神の身体がぼんやりと薄く光り輝く。
これは成仏する前兆ということだろうか?
本当に、早くどっか行ってほしい。

「それじゃあ・・・浦原・・・さ・・・綾音さん、お体労ってくださいね」
そんな私の思いを知る由もなく、清美さんがにっこりと微笑む。ほら、もう一度お礼を、と美幸ちゃんの頭をくいと押すと、美幸ちゃんもペコっと頭を下げた。

「また、清香ちゃんと芝三郎と遊んでね」
「うん!」

バイバイ、と可愛い手を振って何度も振り返りながら歩いていく。
その後姿を見送る私とダリ、芝三郎、清香ちゃん。そして・・・貧乏神。

「あんた、清美さんからやっと離れたの?」

薄ぼんやりとした光が少し強くなる。まるで月の光のような優しい光だ。そして心なしかふわりと貧乏神の身体が浮き上がっているようにも見えた。
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