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天狐あやかし秘譚
第5章 天佑神助(てんゆうしんじょ)

☆☆☆
「んで?おのれはな~んもできず、ひっくり返ってただけだったと?」
サイケなイラストを施したオレンジのシャツ、チノパンという、やっぱりチャラチャラした格好の男性がしゃがみこんだ姿勢で、いまだへたり込んでいる御九里に言う。
ただでさえ糸目なのに、ヘラヘラ笑っているものだから余計目がないよう見える。ただ、笑ってはいるが、全身から怒気が溢れており、それが御九里を心底怯えさせた。
「す・・・すいません・・・」
男は御九里に興味を失ったのか、立ち上がって、あたりを見渡す。
「ほんま、狂骨、おったの?残穢も何もないよ、ここ」
地面を指差す。
「確かにおりました。私達は結界を張っていましたが、確かに現認しています」
背後から黒装束の祭部衆(まつりべしゅう)が言った。
「ふーん。それをこんなキレーにねー。なーんか、ちょっと前にもこういう事あったな?瀬良ちゃん」
男が振り返ると、そこには黒のリクルートスーツに身を包み、肩までの髪の毛を後ろで結んだ女性が控えていた。瀬良、と呼ばれたのはこの女性だ。
「東北での曲がり神の時に似ていますね。土御門様」
「せやな・・・んで?御九里ちゃんさ・・・どんなやつやったの?これやったん。よーけ聞かせてほしいんやけど」
ニヤリと笑う土御門の笑みが、御九里を更に怯えさせた。
「んで?おのれはな~んもできず、ひっくり返ってただけだったと?」
サイケなイラストを施したオレンジのシャツ、チノパンという、やっぱりチャラチャラした格好の男性がしゃがみこんだ姿勢で、いまだへたり込んでいる御九里に言う。
ただでさえ糸目なのに、ヘラヘラ笑っているものだから余計目がないよう見える。ただ、笑ってはいるが、全身から怒気が溢れており、それが御九里を心底怯えさせた。
「す・・・すいません・・・」
男は御九里に興味を失ったのか、立ち上がって、あたりを見渡す。
「ほんま、狂骨、おったの?残穢も何もないよ、ここ」
地面を指差す。
「確かにおりました。私達は結界を張っていましたが、確かに現認しています」
背後から黒装束の祭部衆(まつりべしゅう)が言った。
「ふーん。それをこんなキレーにねー。なーんか、ちょっと前にもこういう事あったな?瀬良ちゃん」
男が振り返ると、そこには黒のリクルートスーツに身を包み、肩までの髪の毛を後ろで結んだ女性が控えていた。瀬良、と呼ばれたのはこの女性だ。
「東北での曲がり神の時に似ていますね。土御門様」
「せやな・・・んで?御九里ちゃんさ・・・どんなやつやったの?これやったん。よーけ聞かせてほしいんやけど」
ニヤリと笑う土御門の笑みが、御九里を更に怯えさせた。

