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天狐あやかし秘譚
第56章 【第13話:天邪鬼】三人成虎(さんにんせいこ)

「一体、どうしたの?大丈夫?あなた」
私が落ち着いたのがわかったのか、やっと女性は私の手を離してくれた。相当強い力で握ってくれたのだろう。ジンジンと腕が痛むほどだった。思わずそこに手をやる。
「ごめんなさい・・・腕、痛めちゃった?」
「いえ・・・大・・・丈夫です」
そうは言いながら、私の頭の中は先程のあの正体不明の生き物のことでいっぱいだった。あれが、あれがもしかして・・・、京依が言っていた・・・。
「鬼・・・?」
「鬼って?」
しまった。思わず口に出してしまった。鬼なんて、変な人に思われてしまう。
「いえ、なんでも、なんでもないんです・・・」
私は取り繕うようにして、服装を整えた。そしてペコリと頭を下げる。
「すいません。ちょっとよそ見しちゃって。もう大丈夫です。」
実際、ここから私の家までは後、数分というところだった。
今はとにかく家に帰りたかった。踵を返そうとした私の腕を、またその女性がぐいと掴む。
「待って・・・あなた、鬼に狙われているの?」
え?
本日二回目の言葉に驚いて、私は彼女の方を振り返った。
「だったら危ないわ・・・」
そして、女性は名乗った。
「私の名前は瀬良。瀬良夕香よ。信じられないかもしれないけど、そういう怪異を祓うのを仕事にしているの。力になれるかもしれない。だから、お願い。教えて、詳しいことを」
私が落ち着いたのがわかったのか、やっと女性は私の手を離してくれた。相当強い力で握ってくれたのだろう。ジンジンと腕が痛むほどだった。思わずそこに手をやる。
「ごめんなさい・・・腕、痛めちゃった?」
「いえ・・・大・・・丈夫です」
そうは言いながら、私の頭の中は先程のあの正体不明の生き物のことでいっぱいだった。あれが、あれがもしかして・・・、京依が言っていた・・・。
「鬼・・・?」
「鬼って?」
しまった。思わず口に出してしまった。鬼なんて、変な人に思われてしまう。
「いえ、なんでも、なんでもないんです・・・」
私は取り繕うようにして、服装を整えた。そしてペコリと頭を下げる。
「すいません。ちょっとよそ見しちゃって。もう大丈夫です。」
実際、ここから私の家までは後、数分というところだった。
今はとにかく家に帰りたかった。踵を返そうとした私の腕を、またその女性がぐいと掴む。
「待って・・・あなた、鬼に狙われているの?」
え?
本日二回目の言葉に驚いて、私は彼女の方を振り返った。
「だったら危ないわ・・・」
そして、女性は名乗った。
「私の名前は瀬良。瀬良夕香よ。信じられないかもしれないけど、そういう怪異を祓うのを仕事にしているの。力になれるかもしれない。だから、お願い。教えて、詳しいことを」

