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天狐あやかし秘譚
第56章 【第13話:天邪鬼】三人成虎(さんにんせいこ)

「それで、お昼休みに京依が『お守り』と言って、これを私にくれたんです」
スクールバックの中から古ぼけたお守りを取り出してみせた。白っぽい布に金糸があしらってある小さな袋状のお守り。よく神社なんかで売っている普通のやつに見える。ご利益が書いてあるところには『厄除け』とあった。
瀬良さんが、それ見ていいですか?と言うので、渡す。彼女は手に取ると一回裏返しにして、またもとに戻し、そして私に返してきた。
「特に何の変哲もないみたいですね」
それは私も思った。普通のお守りだ。
「鬼が・・・とかは、今日、初めて言ったんですか?」
「ええ」
記憶する限りで、京依が私にそんな事を言ったのはこれが初めてだった。別の人たちには怪談話とかをよくしていたみたいだから、もしかしたら鬼の話もしていたかもしれない。
「京依ちゃんがしていた『怪談』というのは?」
「私は、あんまり怖い話とか好きではないので、京依ちゃん、私にはそういう話しをしなかったんですけど、クラスメートにはたまに話していたみたいです。話し方上手だったみたいで、結構みんな聞きたがっていたように見えました。・・・あ・・・」
ちょっと思い出したことがあった。
「どうされました?」
「えっと・・・今回のことに関係するかはわからないんですけど・・・そういえば、よく、『私のお話マジだからさ、祟られないように』とか言って、お祓いするからって、なんか木の板みたいなので友達の体をポンポン叩いたり、擦ったりとか、・・・あと、『御札の書き方教えてあげるから』とか言って、和紙に十字やなんだかよくわからない言葉を書いたりする方法を教えていたみたいでした。」
「霊感がある・・・って言っていたよね?」
「うーん・・・どうでしょう。私は直接聞いたのは今日始めてだったし・・・」
そう・・・と、瀬良さんは少し何かを考える様子を見せた。
「京依ちゃんのお守りは効くかもしれないわね。多分、もう大丈夫・・・だと思うんだよね。でも、やっぱりこのまま帰るのは怖い?」
尋ねられて、考えてみる。話している内に落ち着いてきて、しかも、話自体があまりにも荒唐無稽だ。だんだん、自分でもさっき見たのが本当のことなのか、確信が持てなくなってきてしまった。
京依ちゃんのお守りが効いている、と瀬良さんも言っていたことだし・・・。
スクールバックの中から古ぼけたお守りを取り出してみせた。白っぽい布に金糸があしらってある小さな袋状のお守り。よく神社なんかで売っている普通のやつに見える。ご利益が書いてあるところには『厄除け』とあった。
瀬良さんが、それ見ていいですか?と言うので、渡す。彼女は手に取ると一回裏返しにして、またもとに戻し、そして私に返してきた。
「特に何の変哲もないみたいですね」
それは私も思った。普通のお守りだ。
「鬼が・・・とかは、今日、初めて言ったんですか?」
「ええ」
記憶する限りで、京依が私にそんな事を言ったのはこれが初めてだった。別の人たちには怪談話とかをよくしていたみたいだから、もしかしたら鬼の話もしていたかもしれない。
「京依ちゃんがしていた『怪談』というのは?」
「私は、あんまり怖い話とか好きではないので、京依ちゃん、私にはそういう話しをしなかったんですけど、クラスメートにはたまに話していたみたいです。話し方上手だったみたいで、結構みんな聞きたがっていたように見えました。・・・あ・・・」
ちょっと思い出したことがあった。
「どうされました?」
「えっと・・・今回のことに関係するかはわからないんですけど・・・そういえば、よく、『私のお話マジだからさ、祟られないように』とか言って、お祓いするからって、なんか木の板みたいなので友達の体をポンポン叩いたり、擦ったりとか、・・・あと、『御札の書き方教えてあげるから』とか言って、和紙に十字やなんだかよくわからない言葉を書いたりする方法を教えていたみたいでした。」
「霊感がある・・・って言っていたよね?」
「うーん・・・どうでしょう。私は直接聞いたのは今日始めてだったし・・・」
そう・・・と、瀬良さんは少し何かを考える様子を見せた。
「京依ちゃんのお守りは効くかもしれないわね。多分、もう大丈夫・・・だと思うんだよね。でも、やっぱりこのまま帰るのは怖い?」
尋ねられて、考えてみる。話している内に落ち着いてきて、しかも、話自体があまりにも荒唐無稽だ。だんだん、自分でもさっき見たのが本当のことなのか、確信が持てなくなってきてしまった。
京依ちゃんのお守りが効いている、と瀬良さんも言っていたことだし・・・。

