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天狐あやかし秘譚
第56章 【第13話:天邪鬼】三人成虎(さんにんせいこ)
☆☆☆
「京依ちゃんは、いい友達だったのね・・・」
「はい。でも、今日の昼、あんな事を言うなんて・・・」

別に、特に変わることのない普通の日だった。強いて言えば、あと数週間で期末試験、という独特の緊張感があるくらい、だった。

3時間目の理科の授業を終え、教室移動をしているときだった。京依ちゃんが私の前に立ちふさがるようにいた。

「京依ちゃん、どうしたの?」
京依ちゃんは何かを言いにくそうにしているみたいだった。少し下を見ながらキョロキョロと目を泳がせていた。
いつもハキハキしている京依が珍しい、そう思ったのを覚えている。
「京依ちゃん?」
私はただでさえ理科教室から出るのが遅くなったので、次の授業が始まってしまうと、気持ちが焦っていたのもあった。
「あ・・・あのね・・・玲ちゃん」
唇を噛んで、じっと私を見た。いったいどうしたというのだろう。
「何?どうしたの?」
私は先を急ぎたい気持ちがあったので、彼女の煮えきらない態度に若干苛ついていたようだった。言葉にやや険があったかもしれない。
何か京依ちゃんはぐっと言葉を飲み込むようにすると、にこっといつもの笑顔に戻った。
「ううん、なんでもない」
一体何だというのだろう・・・。
「うん・・・ごめん、ちょっと私、急ぐから」
そう言って、京依ちゃんの横を通り過ぎ、教室に急ごうとした。その時だった、彼女が私をまた呼び止めた。
「玲ちゃん」
今度は何?と振り返ると、彼女はこう言った。

「鬼に、狙われているよ」
彼女の顔は笑顔のままだ。

え?
一瞬、意味がわからなかった。

「どういうこと?」
聞き返すと、京依ちゃんはちらっと右上の方に視線をやる。
「このままじゃ危ないよ・・・私、ほら、少し霊感あるじゃない。視えるんだ、今、玲ちゃんの肩に鬼の手が見えるから・・・だから・・・」

そう言いながら近づいてくる。戸惑っていると、チャイムが鳴り始めてしまう。何があったかわからないけど、これ以上付き合ってられない!

「ごめん、授業始まっちゃうから!」
そう言って階段を駆け上がった。後ろから京依ちゃんが「お守り・・・あとで、お守り持って行くから!」と言っているのが聞こえた。
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