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天狐あやかし秘譚
第57章 自縄自縛(じじょうじばく)

☆☆☆
暗い公園のベンチに私は座っていた。ベンチの上には白銀灯が据えてあり、周囲を照らしていた。空には十三夜くらいだろうか、明るい月がかかっていた。
ベンチにはもう一人、先ほど出会ったばかりの『市ヶ谷玲子』が座っていた。
時刻は20時を回ろうとしている。
暑くもなく、寒くもない。程よい気候だ。
この公園はいわゆる児童公園ではなく、環境緑化を目的として作られた、いわゆる広場的な感じだった。大きな草地の周りにベンチがいくつか設えてある。中央から少し外れたところに噴水のような施設がある。ただ、今は冬場だからだろうか、それとも夜だからだろうか、噴水から水が吹き出している様子はなかった。
私の考えすぎ、思い過ごしだと良いのだけど・・・。
私は先ほど玲子から聞いた話を思い出していた。
『鬼に狙われている』と同級生に言われ、実際に鬼のような『ナニカ』に襲われたと言っていた。確かに彼女からは微かに【ケガレ】の気配を感じていた。なので、先ほど霊水を飲ませて、軽く祓えをしたところだ。
おそらく霊障的なものについての応急的対処は、これで終わりだ。後に引きずることもないと思われる。
ただ・・・気になるのは、彼女を追いかけていたという『ナニカ』については、なんら対処できていないということだった。
偶発的に遭遇した怪異であれば、先程の祓えだけで十分な効果があるだろう。しかし、意思を持って彼女を狙っているモノだとしたら、まだ危機は去っていないかもしれないのだ。
それを確かめなければいけない。
そして、もし、本当に彼女が狙われているのだとすれば、少し嫌なことを考えなくてはならないだろう。
私の勘が外れてくれている方が良い。
そんな風に思いながら待っていたが、残念ながら、ソレは現れてしまったようだった。
ぞわりと、嫌な気配が背中から立ち昇ってくる。
チリリと静電気が首筋に走ったような感覚がある。その感覚は、今座っているところから右斜め前方向。方角にすれば北東から強く感じられた。
暗い公園のベンチに私は座っていた。ベンチの上には白銀灯が据えてあり、周囲を照らしていた。空には十三夜くらいだろうか、明るい月がかかっていた。
ベンチにはもう一人、先ほど出会ったばかりの『市ヶ谷玲子』が座っていた。
時刻は20時を回ろうとしている。
暑くもなく、寒くもない。程よい気候だ。
この公園はいわゆる児童公園ではなく、環境緑化を目的として作られた、いわゆる広場的な感じだった。大きな草地の周りにベンチがいくつか設えてある。中央から少し外れたところに噴水のような施設がある。ただ、今は冬場だからだろうか、それとも夜だからだろうか、噴水から水が吹き出している様子はなかった。
私の考えすぎ、思い過ごしだと良いのだけど・・・。
私は先ほど玲子から聞いた話を思い出していた。
『鬼に狙われている』と同級生に言われ、実際に鬼のような『ナニカ』に襲われたと言っていた。確かに彼女からは微かに【ケガレ】の気配を感じていた。なので、先ほど霊水を飲ませて、軽く祓えをしたところだ。
おそらく霊障的なものについての応急的対処は、これで終わりだ。後に引きずることもないと思われる。
ただ・・・気になるのは、彼女を追いかけていたという『ナニカ』については、なんら対処できていないということだった。
偶発的に遭遇した怪異であれば、先程の祓えだけで十分な効果があるだろう。しかし、意思を持って彼女を狙っているモノだとしたら、まだ危機は去っていないかもしれないのだ。
それを確かめなければいけない。
そして、もし、本当に彼女が狙われているのだとすれば、少し嫌なことを考えなくてはならないだろう。
私の勘が外れてくれている方が良い。
そんな風に思いながら待っていたが、残念ながら、ソレは現れてしまったようだった。
ぞわりと、嫌な気配が背中から立ち昇ってくる。
チリリと静電気が首筋に走ったような感覚がある。その感覚は、今座っているところから右斜め前方向。方角にすれば北東から強く感じられた。

