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天狐あやかし秘譚
第57章 自縄自縛(じじょうじばく)
♡ーーーーー♡
【自縄自縛】自分の言動が自分をしばって、自由に振る舞えずに苦しむこと。
自分の縄で自分を縛っちゃってる・・・誰も責められないけど、誰か責めたい!!みたいな。
♡ーーーーー♡

暗い道を私は歩いていた。見上げると、空にはまるまるとした月が朧に昇っていた
あれ?どこに向かっているんだっけ?
そう思いながら、わからないまま、私は歩き続けた。

それにしてもさっきは惜しかった。
もう少しで目的を果たせそうだったのに、邪魔をされてしまった。

目的・・・あれ?目的って何だっけ?

また、私は歩く。スンスンと鼻を動かした。
匂いがする・・・
私の求めている匂い・・・
そう、あっち、あっちね。

四つ辻で私は右を向く。カーブミラーに私の姿が写る。チラとそれを横目で見る。
髪の毛、もう少し切ったほうが良かっただろうか?目にかかってしまっている。

そう、あっち。あっちの方からだ。
待っててね、待ってて・・・、今行くよ、行くからね・・・。

道の突き当りは公園だった。暗い森のような公園。
月明かりにぼんやりと照らされた黒い木々たちが、ざわわと風に揺れている。

この中かな?
あれ?

私は気がついた。ひとりじゃないみたい。
近づいてわかった。誰か、一緒にいるみたい。誰?誰といるの?

木の枝をかき分けて、私は公園に入っていった。夜の住宅街の公園だ。他には誰もいやしない。ここでなら邪魔が入ることもないだろう。

入り込むと道が左右に伸びていた。右を見て、左を見る。青い月灯りに照らされた道。もう一度スンスンと匂いを嗅ぐ。あっちか・・・。

右でも左でもない。斜め左の方角。そっちにいる。いるんだよね?
早く・・・早く・・・

ねえ・・・ねえ・・・
玲ちゃん
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