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天狐あやかし秘譚
第57章 自縄自縛(じじょうじばく)

土御門様たちの話によると、私が気絶したあと、土御門様はあっという間に京依を取り押さえてしまったようだ。取り押さえられた京依は今、祭部衆により、体内から瘴気を抜く儀式を受けているとのことだった。
「玲子ちゃん?から事情は聞いたで。瀬良ちゃん、玲子ちゃんを助けようとしたんやな?」
「はい・・・」
「ただな・・・わかってるな?」
「はい」
土御門様の言いたいことはわかってる。確かに休暇中だったとは言え、助けを呼べないようなシチュエーションでもなかった。陰陽寮に連絡し、もっと手厚い体制で京依に対することも出来たはずだ。
「なんで、あないな無理したん?瀬良ちゃんらしくないで?」
たしかに昔の私なら、迷わずに土御門様に報告して対処しただろう。その方が安全だし、成功率も高まる。
本当に、どうしてあんなことをしてしまったのだろう。
「私はちょっと甘いものを食べてくるのです!」
妙なタイミングで土門様が席を外した。多分、気を利かせてくれたのだろうとわかる。
それで、なんだか、じわりと涙が滲んできた。
涙をふかなくちゃ、と思った時、ふわりと土御門様の手が私の頭に載せられる。そのまま、彼の大きな手が、グリグリと子どもをあやすように私の頭を撫でてきた。
「瀬良ちゃんのことやから?わいの役に立ててないんやないかとか、そんなこと、くっそ真面目に考えとったんやろ?んなわけないのになあ」
優しい目でそんな事を言われて、不覚にもじわわわっと涙が溢れた。
なんで、そんなこと言うのよ。
今、言うのよ・・・。
涙を見られたくなくて、ふいっと私はそっぽを向いた。
そんな私の頭をグリグリと更に撫でつけてくる。しばらくして飽きたのか、やっと手を離してくれた。
そのままちょっとの時間、背中越しに彼の気配を感じていた。
いつもはおしゃべりな土御門様は、その沈黙に付き合ってくれていた。
「回向、しようとしたんです。私・・・。」
「ん?せやから、もうええて」
「違うんです・・・別に言い訳とかじゃなくて・・・。
彼女の・・・京依ちゃんの気持ち、わかってるつもりで、なんにもわかってなくて・・・」
そう、私は勘違いしていたのだ。
京依は見栄を張るために嘘をついていたのではなかったのだ。
「玲子ちゃん?から事情は聞いたで。瀬良ちゃん、玲子ちゃんを助けようとしたんやな?」
「はい・・・」
「ただな・・・わかってるな?」
「はい」
土御門様の言いたいことはわかってる。確かに休暇中だったとは言え、助けを呼べないようなシチュエーションでもなかった。陰陽寮に連絡し、もっと手厚い体制で京依に対することも出来たはずだ。
「なんで、あないな無理したん?瀬良ちゃんらしくないで?」
たしかに昔の私なら、迷わずに土御門様に報告して対処しただろう。その方が安全だし、成功率も高まる。
本当に、どうしてあんなことをしてしまったのだろう。
「私はちょっと甘いものを食べてくるのです!」
妙なタイミングで土門様が席を外した。多分、気を利かせてくれたのだろうとわかる。
それで、なんだか、じわりと涙が滲んできた。
涙をふかなくちゃ、と思った時、ふわりと土御門様の手が私の頭に載せられる。そのまま、彼の大きな手が、グリグリと子どもをあやすように私の頭を撫でてきた。
「瀬良ちゃんのことやから?わいの役に立ててないんやないかとか、そんなこと、くっそ真面目に考えとったんやろ?んなわけないのになあ」
優しい目でそんな事を言われて、不覚にもじわわわっと涙が溢れた。
なんで、そんなこと言うのよ。
今、言うのよ・・・。
涙を見られたくなくて、ふいっと私はそっぽを向いた。
そんな私の頭をグリグリと更に撫でつけてくる。しばらくして飽きたのか、やっと手を離してくれた。
そのままちょっとの時間、背中越しに彼の気配を感じていた。
いつもはおしゃべりな土御門様は、その沈黙に付き合ってくれていた。
「回向、しようとしたんです。私・・・。」
「ん?せやから、もうええて」
「違うんです・・・別に言い訳とかじゃなくて・・・。
彼女の・・・京依ちゃんの気持ち、わかってるつもりで、なんにもわかってなくて・・・」
そう、私は勘違いしていたのだ。
京依は見栄を張るために嘘をついていたのではなかったのだ。

