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天狐あやかし秘譚
第57章 自縄自縛(じじょうじばく)
☆☆☆
目を開くと、真っ白い天井が見えた。左手から柔らかい陽光が差し込んできていた。ゴワゴワとした独特の肌触りの布団、消毒薬の匂い、そして、左手に繋がれた点滴のチューブが目に入り、私は自分が病院のベッドに寝かされていることを悟った。

起き上がろうとして右手が動かない事に気づいた。

「あら、瀬良さん、気が付かれたんですね?」
ナース服を着た人がちょうど病室に入ってくるところで、私の目が開いていることに気づいたようだ。医師を呼んでくるから、と廊下に出ていった。しばらくすると、肩幅の広いガッシリとした白衣の男が入ってきた。どうやら私の主治医らしい。

医師の男性は、私に対して、どこか痛まないか、目の見え方は正常か、などと問診をした後、看護師の女性に二言三言指示を出した。医師によると、私の右手はかなりひどい骨折をしているらしく、全治3ヶ月はかかるだろうとのことだった。

そうか・・・京依にひどく握られたから・・・。

首の方の損傷も案じられたが、その点は奇跡的に問題はなかったようだった。
私が目を覚ましてから1時間もしない内に土御門様と、土門様が病室にやってきた。主の到着に私は慌てて身体を起こそうとする。

「あ、ええで、寝てて、瀬良ちゃん」

土御門様によると、右手の複雑骨折の他に、やはり低酸素脳症を起こしていたようだった。二日ほど意識がなかったらしい。

「申し訳ありません」
2日寝ていたということは、今日は本当はいただいた休暇が終わって出勤していなければならなかったはずだ。
「そんなのかまへん。普段働き過ぎやからな。お医者によると、疲労も相当溜まってるようだってことやった。いい機会や、しっかり休み」
「そうですよ!?きちんと睡眠を取らないと、お肌が荒れてしまうのです!」
土御門様の後ろから、土門様がぴょこっと顔を出す。

千里眼土門・・・。そうか、なんとなく合点がいった。

「土門様が?」
「そうや、土門が占いで妙な卦(け)が出てるゆうてな・・・、嫌な予感して調べてもろたんや。そしたら、瀬良ちゃんに凶相が出ててな。慌てて駆けつけたら、なんやごっつい鬼と交戦中で・・・。そらもう、えらいビビッたで」
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