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天狐あやかし秘譚
第59章 合縁奇縁(あいえんきえん)

☆☆☆
「んで?土門はん、消えよったん?」
土御門が執務机の上で頬杖をつきながら言った。
ここは陰陽寮の土御門の執務室。土門が表参道で消えてしまい、とりあえずインシデントの報告をしなければということで、速報した所、土御門に一旦戻るように言われたというわけだ。
「土門様には何か考えがあったのでしょうか?」
土御門の側近である瀬良が言った。瀬良は先日、何らかの怪異と一戦交えたようで、その際に右腕をかなりひどく損傷したらしい。まだガッチリしたアームホルダーで右腕を固定していた。
「まあ、そうなんやないのかな?
宝生前はん。土門はんはあんさんになんか言い残さんかったん?
あの千里眼のことや、何が起こるかわかった上で、現場に行ったんと思うよね」
言い残したことと言えば・・・
「『頼みましたよ』と言われました」
本当にそれだけだった。後は、彼女が何を占って、何を見たのかすら教えてもらっていない。ただ、キスのことはちょっと恥ずかしいこともあり、伏せてしまった。
「頼みました・・・ということは、土門さんは、宝生前さんならなんとかできると思っていたということでしょうね」
「状況から言って、本当は、その後をつけた女性が攫われる予定やった所、土門が身代わりになったっちゅうことやろな。そいで、自分を囮にして、怪異の根城を掴めっちゅうことやろ?宝生前なら私の居場所、わかるはず・・・ってか?」
んん・・・と考えて、ふとひらめいたように土御門が私を見た。
「んで?土門はん、消えよったん?」
土御門が執務机の上で頬杖をつきながら言った。
ここは陰陽寮の土御門の執務室。土門が表参道で消えてしまい、とりあえずインシデントの報告をしなければということで、速報した所、土御門に一旦戻るように言われたというわけだ。
「土門様には何か考えがあったのでしょうか?」
土御門の側近である瀬良が言った。瀬良は先日、何らかの怪異と一戦交えたようで、その際に右腕をかなりひどく損傷したらしい。まだガッチリしたアームホルダーで右腕を固定していた。
「まあ、そうなんやないのかな?
宝生前はん。土門はんはあんさんになんか言い残さんかったん?
あの千里眼のことや、何が起こるかわかった上で、現場に行ったんと思うよね」
言い残したことと言えば・・・
「『頼みましたよ』と言われました」
本当にそれだけだった。後は、彼女が何を占って、何を見たのかすら教えてもらっていない。ただ、キスのことはちょっと恥ずかしいこともあり、伏せてしまった。
「頼みました・・・ということは、土門さんは、宝生前さんならなんとかできると思っていたということでしょうね」
「状況から言って、本当は、その後をつけた女性が攫われる予定やった所、土門が身代わりになったっちゅうことやろな。そいで、自分を囮にして、怪異の根城を掴めっちゅうことやろ?宝生前なら私の居場所、わかるはず・・・ってか?」
んん・・・と考えて、ふとひらめいたように土御門が私を見た。

