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天狐あやかし秘譚
第59章 合縁奇縁(あいえんきえん)

両腕を胸の前に交差させ、木環を軽く接触させると接触点がより強い燐光を放ち、それが周囲に広がっていく。光に乗って、視野が拡張する・・・イメージ。己の魂を拡張し、周囲の空間を把握し、詳細に知覚する私の術式・・・
『木気 歳星 吉祥 視神祭天』
歳星神の力を勧請し、意識野を広げる術式。私の得意とするもののひとつだ。
視える・・・視えるのです・・・。
私はぺろりと舌なめずりをする。これは、興味深いものを見聞きしたときの私のクセ。このクセが出てしまうほどに、今の状況は私の脳髄を刺激していた。
あやかしの作る結界・・・異界・・・
さあ、その本性を存分に調べるとしましょう。
綾音は5〜6回異界に呑まれたと言っていた。それを聞いて大変羨ましいと思っていたところだ。本来、陰陽寮の陰陽師と言えども、こうして異界を直接体験できるなど、滅多にない。
陰陽師冥利に尽きるというものです・・・。
『目』がふわりと浮き上がっていくのを感じる。それに伴い、私の意識の視野がぐぐっと広がっていった。私が今行った術式は意識を拡張し、周囲を調べるためのものだ。その調査範囲は、最大でおおよそ半径5キロほどに及ぶ。今の私には、そこで起こっていることのほぼ全てを把握することが可能である。
『目』を縦横に動かし、周囲の検知を始める。
ここは、異界の中心から少し外れているところ、みたいですね。
異界の形状は半球形。半径はおよそ3キロと言ったところ。
異界の形態や構造、これを作り出した妖力の濃度や性質・・・それらの情報が私の脳に流れ込んでくる。
異界の大きさ自体はさほどではない。妖力の濃度も・・・。ということは、これを作り出した怪異の実力もたかが知れいてるというものだ。高く見積もっても乙種の上といったところだろう。
ただ、この異界の性質上、私の呪力は大幅に抑えられてしまうようだ。まあ、当然だ。向こうが作った異界なのだ。向こうの都合のいいようにできている。
ただ、『目』を飛ばす分には問題はない。さほどの抵抗を感じずに術式を展開できている。なので、私は更にこの異界の様子を詳細に調べることにした。何処かにこの異界を生み出した怪異がいるはずである。
『木気 歳星 吉祥 視神祭天』
歳星神の力を勧請し、意識野を広げる術式。私の得意とするもののひとつだ。
視える・・・視えるのです・・・。
私はぺろりと舌なめずりをする。これは、興味深いものを見聞きしたときの私のクセ。このクセが出てしまうほどに、今の状況は私の脳髄を刺激していた。
あやかしの作る結界・・・異界・・・
さあ、その本性を存分に調べるとしましょう。
綾音は5〜6回異界に呑まれたと言っていた。それを聞いて大変羨ましいと思っていたところだ。本来、陰陽寮の陰陽師と言えども、こうして異界を直接体験できるなど、滅多にない。
陰陽師冥利に尽きるというものです・・・。
『目』がふわりと浮き上がっていくのを感じる。それに伴い、私の意識の視野がぐぐっと広がっていった。私が今行った術式は意識を拡張し、周囲を調べるためのものだ。その調査範囲は、最大でおおよそ半径5キロほどに及ぶ。今の私には、そこで起こっていることのほぼ全てを把握することが可能である。
『目』を縦横に動かし、周囲の検知を始める。
ここは、異界の中心から少し外れているところ、みたいですね。
異界の形状は半球形。半径はおよそ3キロと言ったところ。
異界の形態や構造、これを作り出した妖力の濃度や性質・・・それらの情報が私の脳に流れ込んでくる。
異界の大きさ自体はさほどではない。妖力の濃度も・・・。ということは、これを作り出した怪異の実力もたかが知れいてるというものだ。高く見積もっても乙種の上といったところだろう。
ただ、この異界の性質上、私の呪力は大幅に抑えられてしまうようだ。まあ、当然だ。向こうが作った異界なのだ。向こうの都合のいいようにできている。
ただ、『目』を飛ばす分には問題はない。さほどの抵抗を感じずに術式を展開できている。なので、私は更にこの異界の様子を詳細に調べることにした。何処かにこの異界を生み出した怪異がいるはずである。

