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天狐あやかし秘譚
第59章 合縁奇縁(あいえんきえん)
半球形をした異界は小さな村落を内包していた。その村落は北側と西側を山に、東側を森に、南側を街道に接していた。南側の街道はおそらく隣の村などに通じていると思われる。その街道と、村から伸びる道は十字路を形成しており、村から南に向かう先はおそらく峠道に通じているように思われた。そして、交差点には小さな祠が据えられていた。

その祠の先がおそらくこの異界の出口だろうと推察されたが、それを利用してここから出るのは難しいように思えた。

なぜなら・・・

「随分、いっぱいいますねぇ」

その祠の先には黒い影のような『辻神』が所狭しとひしめき合っていたからである。確かに私自身は『丞の一位』という陰陽寮では土御門に次ぐ位階をいただいているのだが、その力は占術や調査術に偏っており、あまり戦闘向きの術式は得意ではない。さらに言えば呪力も抑え込まれているわけなので、1匹や2匹ならともかく、あれだけの数を相手取って戦えば、勝ち目なんて絶対ない。

その他にも分かったことがある。先程までは、あの『辻神』こそ、この怪異の本体であると考えていたのだが、どうやら違うらしい。あれは分身のようなもののようだ。まあ、言われてみれば、だからこそ全国各地で事件を引き起こすことができたのだろう。

ということは・・・この怪異の中心・・・つまり『本体』は別にいる・・・ということでしょうか?

今度は意識を異界の中心に向けた。少し高台のようになっているところに他とは明らかに違う作りのしっかりした大きな家と、その家の背後、北側の小高い丘の上に、神社があるのがわかった。

神社には小さな本殿があり、社額は掠れて読めなかった。どのような神を祀っているのか、それがわかるものを読み取ることはできない。しかし・・・、

社殿が・・・壊されている?

社殿の側壁にあたる木の板がバリバリに破られており、中が伺えるようになっている。本来そこには御神体に当たるものがあるはずであるが、『目』で覗いてみると、ラグビーボールよりも二回りほど大きな紡錘形の石が中央に置かれ、その周辺がしめ縄で囲われているのみだった。ちなみにしめ縄は切れて落ちてる。
表面に何やら文字が穿たれているが、経年劣化のせいか読み取ることが困難なほど摩耗している。
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