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天狐あやかし秘譚
第59章 合縁奇縁(あいえんきえん)
☆☆☆
「はあ・・・」
私は盛大にため息をつく。

土門さん、あなたって人は・・・、とつい愚痴っぽく考えてしまう。
要は例の表参道ヒルズでの疑似デートも、去り際に放ったキスも、私との縁を強めるための儀式だったというわけだ。最初から自分が怪異に攫われる女性の身代わりになる、という事がわかっていたに違いない。分かっていて、敢えてそうしたのだ。

それならそうと、はじめから言ってくれればいいのに・・・。

だが、そうは思ったが、多分、私の性格上、土門から『私が犠牲者の身代わりになるので、それを助けに来てほしいのです』とか言われたら絶対反対するだろうと考え、思い直す。それならばと、もし今夜、攫われるはずの女性を直接的に助けてしまえば、辻神が我々の動きに気づき、その後、二度と姿を表さなくなってしまう可能性がある。そうなれば、元の木阿弥だ。
ならば、黙って自分が人質になるのが一番ではないか・・・、そう考えた、というところか・・・。

それにしても・・・。

やり方が危険すぎます。自分の身になにかあったらどうする気ですか。
それとも、それほどまでに・・・

「私のことを信頼している・・・とでも?」
だとしたら、私が祓衆の支援を断って単身であなたのことを探すこと・・・これもあなたの計算通りですよね?

陰陽寮の庁舎を出て、空を見上げる。時刻は20時を回っていた。
二度目のため息をついた私の脳裏に、先程、嬉しそうにクレープを頬張っていた土門の顔がなかったと言えば、嘘になる。

「全く・・・世話が焼けます」

ところで、『縁を辿る』ということは、さほど難しくない。縁は人に絡みつく糸のようなもので、それを通じて様々な作用を及ぼす。

例えば、虫の知らせ、というのがある。
家族や親友のような、自分に近しい人が亡くなった時、なんとなく「ピン」と来る、というやつである。霊力が強いと、場合によっては声が聞こえたり、姿が見えるなどということもある。
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