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天狐あやかし秘譚
第59章 合縁奇縁(あいえんきえん)
この「知らせ」が伝播するのは、縁を通じてなのである。
悪い方だと、怪異や呪も縁を辿って作用することがある。よく、家族でひとりが祟られると、連鎖するように親戚まで没落することがあるが、これも縁を辿って怪異が伝わってしまった例である。

というわけで、ある程度の霊力があり、作法を知っている者ならば、縁を辿って、その人の元にたどり着くことは、比較的容易なのである。

私は土の術者だ。『道』は土性に属していることから、私の術式と相性が良いとも思ったのだろう。

人のことを縁を辿る媒介に使おうなどと・・・あなたの考えることはやはり一筋縄ではいかないですね。

私は『識神荒御魂』と墨字で書かれた召喚用の符を取り出し、呪を唱えた。

『陰陽五行 魔王天王 大自在 荒魂勧請』

ぼんやりと符が光り、ぽたりと地面に落ちる。それはたちまちのうちに鎌首をもたげたずんぐりとした蛇へと姿を変えた。青白く発光するそれは、普通の人間には見えない。陰陽師が用いる使い魔、式神である。

私の式神は名を『野づ霊』という。

「縁を辿れ・・・野づ霊」

自らの左目の視野を、野づ霊のそれと共有する。地面を這う野づ霊が見た景色が左目に投影された。蛇なので、温度に敏感だ。まるで赤外線カメラで周囲を見ているような感じに見える。生きているもの、温かいものはぼんやりと白く光り、冷たいものは暗く沈む。視野を調整する。縁を見るために霊的なものをより的確に捉える形に切り替える。

視野が一転し、緑色を帯びる。すると、周囲に光り輝く糸のようなものが縦横に走るのが視えてくる。これが『縁』だ。野づ霊の顔をこちらに向けると、『私』が見える。自分の左視野に自分が映るということに、術を覚えはじめの頃はいささか戸惑ったが、式神を使っているとよくあることだ。もうすっかり慣れてしまった。

ああ、やはりそこに一番強い縁が結ばれていますか・・・。
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