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天狐あやかし秘譚
第60章 雲蒸竜変(うんじょうりょうへん)
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【雲蒸竜変】英雄や豪傑などのすぐれた人物が、時運に乗じて出現し活躍すること。
ピンチのとき!湧き出る雲とともに超カッコいい龍が現れ大暴れ!!みたいな。
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「さてと・・・大分時間がかかってしまいましたね」
私は田舎道の片隅に車を止めた。
腕時計を見ると、午前0時を回っている。走り出したのが9時過ぎだったから、かれこれ3時間近くも車を走らせていることになる。

やってきたのは山梨県の中程に位置する山間の土地だった。車から降り、周囲を見渡す。右手には森があり、やや傾斜がかかっているように見える。左手は細い川が流れている。その川の向こうには何軒かの家があるようだ。どうやら小さな集落があるらしかった。

縁の糸は右手の山の方に吸い込まれていっている。距離的に大分近づいたようなので、私はこれ以上、車道で距離を詰めるのを諦め、歩くことにした。とりあえず寮に連絡を入れる。差し迫った危険は感じないので、このまま調査を進める旨を伝え、スマートフォンをポケットに入れた。

しかし・・・。
「山道・・・ですか・・・」
ふと自分の格好を見る。私は普通の仕事の日、大学の講義や陰陽寮での事務作業の日などは、たいてい三つ揃えのスーツにネクタイという出で立ちである。好きだから、というのもあるが、あまり考えなくてもいいのが楽なのだ。当然、靴も濃茶の革靴である。

今日も例外ではない。もちろん、着替えなど持ってきてはいない。
はあ・・・とため息をつき、せめてもとスーツの上は脱いで車内に置いていくことにする。呪具等が入ったバックパックを背負い、ネクタイを少し緩める。
「全く・・・時間外労働も甚だしいですよ」
誰にともなくひとりごちしながら、私は、ヤブをかき分けて山中に入っていった。

懐中電灯を片手に道なき道を登っていく。足元にはスルスルと野づ霊が這っている。野づ霊にとっては都会のアスファルトよりも、こんなふうな山道の方が進みやすいのだろうか。心做しか、生き生きとしているようにも見える。
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