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天狐あやかし秘譚
第61章 怒髪衝天(どはつしょうてん)
「えっらい迷惑な話やな・・・。勘違いならさっさと家に帰せばいいのに」

これは推測ですが・・・、と宝生前が前置きをして言ったところでは、おそらく鹿島の寂しさが絡んでいたのではないかということだ。ひとりで生きていきたくない、誰かと一緒にいたい、そういう思いが、何人もの女を囲い込み、犯し続けるという結果を生んだのだろう、と。

「ま、解決してよかったなあ。しかし、宝生前はん、よく土門の居場所わかりましたな」

結局、土門や攫われた女は、鹿島と田村が行った村に結びついた異界に囚われていたのだ。その場所が分かった理由は・・・

「土門様の夜魂蝶からの情報がヒントでした。怪異が女性ばかりをさらっていたところから、本来求めている女性がいたのではないか・・・と推測したんです。」
そして、宝生前が冴守に、自分がいる場所の近くで女性の行方不明事件や事故がなかったかを調べさせて、田村の事故にたどり着いたのだった。

「それからは田村の供述内容を取り寄せ、村の存在と場所が明らかになったわけです。古い地図の情報から、村に神社と大きい屋敷があるということもわかりましたしね」

それで、決まりだということで乗り込んでいった、というわけだった。

「お見事」
パチパチと土御門が拍手をする。瀬良もニコニコとその様子を見ていた。

「まあ、身を挺して被害最小化に取り組んだっちゅうことで土門はんもお見事なんやけど・・・」

土御門がちらっと自分の右に座っている土門に目を向ける。
つられて瀬良と宝生前、最後に冴守が左側に目を動かす。

ぽやぽやぽや〜ん

ニヤけた口元、何処を見ているかわからない目、
誰が見ても明らかなほど、土門の心はここになかった。
先程からふふふ、と含み笑いをしたかと思うと、ぶつぶつと何事かを言ったり、きゃーっと小さく呻いたかと思うと、机に突っ伏して悶えたりしていた。

ブツブツ言っているのはどうやら『宝生前さん・・・かっこよかったのです』とか、『お姫様抱っこ・・・してくれたら・・・』とか、そんな内容。

はあ・・・と土御門がため息をつく。
冴守はすいと目を逸らし、知らんぷりを決め込んでいた。
瀬良は困ったように薄い笑みを浮かべながら、生暖かく見守ろうか、というようなちょっと達観した表情をしていた。

宝生前は、というと、そんな土門を直視できず、極力目を合わさないようにしていた。
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