この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第61章 怒髪衝天(どはつしょうてん)
「その神社というのが、久那土神を祀っている・・・という建前で、実は辻神を封じていた社だった、というわけです」
ここは自分の専門だ、とばかりに宝生前が声を上げる。
「辻神を封印って、どういうことですか?宝生前さん」
土御門の横に座っていた瀬良が疑問を呈した。
「封印と言うよりも、鬼瓦みたいな形で『利用』という方が正しいのかも知れません。村に悪いものが入らないよう、村の中央に位置する社に辻神を封じ、村の入口の祠と呪的に連結。その呪力でもって、村を守ろうとしたのだと思います」

この場合、非常に模式的に考えると、中央の社に封じ込められた辻神は一種の電池みたいなもので、その『電力』を用いて、村と街道の堺に設置した祠を『結界装置』のように使っていたというわけだ。

「それをその男が壊してもーて?」
「辻神が外に出ました」

辻神は、もともと、辻に立ち、人々の往来を妨げる働きをするあやかしである。解放された辻神と、鹿島の欲求が、この瞬間、奇跡的に一致してしまったのだ。

「この道通るべからず、と、ここから外に出るな、っちゅう願いがか?」
「そうですね。それで鹿島が辻神と融合した」

眼の前で目から血を流した元恋人が神社から漏れ出したナニカと融合し、得体のしれない化け物になる様子を見て、田村はパニックを起こす。融合しかけた鹿島を置いて一目散に逃げ出した。

「闇雲に逃げた結果、田村は街道で自動車事故に遭遇、今に至るまで山梨市内の病院に入院していたのです」

ここで終わればよかったのだが、田村を逃がしてしまった鹿島と辻神の『融合体』は、田村を探し回ることになる。辻神の力を使い、あちこちで田村と年格好が似ている女を物色し始めたのだ。

「この時点で鹿島の意識は半分以上辻神に持っていかれてました。ただ、鹿島の根底にある欲望、つまりは田村を閉じ込めて犯したい、一緒にずっと暮らしたい、というものだけが奇妙に残り・・・」
「あちこちで女を攫ったっちゅうわけか」

ちなみに、最大のターゲットである田村はずっと入院しており、辻神のテリトリーである『辻』に差し掛かることはなかった。なので、いちばん求めているものを得られないまま、延々と『辻神』は狩りをし続けた・・・というわけだったのだ。
/811ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ