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天狐あやかし秘譚
第62章 【第15話 黄泉平坂】不知不覚(ふちふかく)
【第15話 黄泉平坂】
♡ーーーーー♡
【不知不覚】知らない内に物事が進んでいる様。
知らなかったよ〜♪みたいな。
♡ーーーーー♡

【2年前:長野県石隠市】

季節は春。石隠市立加賀屋中学校も新学期にあたってのクラス替えを終え、ようやくクラスが落ち着き出した。落ち着いたのは良いのだが、今度は居眠りが多発している。春眠暁を覚えず、とはよく言ったもので、男子のみならず、女子もあっちこっちでうつらうつらと船を漕いでいた。

「おい!お前ら!ちょっとたるんでるぞ!」
数学教師の荻野は生徒たちを一喝する。一瞬ぱっと跳ね起きる生徒はまだ可愛い方で、図太いやつはそれでもコックリコックリしている。

『全く・・・』
荻野は心中で毒づく。こいつら3年生で今年は受験だってのに、こんな様子で大丈夫かよと思ってしまう。ただ、こうしてうつらうつらしている生徒の中には、塾の宿題で夜ふかしせざるを得なくて、という者が少なからずいることは重々承知だ。なので、それほど強くも言えない。

『それにしたって、学校での勉強が基礎だろうが』
そう思うのだが、昨今はその点が逆転しがちだ。学校よりも塾を優先する親が多いし、学校側も『塾を上手に活用しましょう』とそれに拍車をかけているきらいもある。

そんな状態は教師一筋30年を超える荻野にとって、やはり異常だろうと感じてしまう。
俺の若い頃とは大違いだ・・・、そう思っていた。

荻野にとって、このクラスは教師生活で最後に担任するクラスでもあった。少しでもよい進路に進ませてやりたいと思っている。なので、自然と指導にも熱が入ってしまうのだが・・・。

『まあ、これも時代か・・・』
昔は教師が厳しく指導しても、それに反発して食いついてくる気骨のある学生が多かった気がするが、昨今はそうすると、その場で泣き出すならまだ良い方で、下手したらそれを原因にして不登校になった挙げ句、親が学校に怒鳴り込んできたり、子ども自身が教育委員会に投書するなんてことすらある。なかなかにやりにくい時代だ。

まあ、俺は俺で、やるべきことをやるしかないか・・・
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