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天狐あやかし秘譚
第62章 【第15話 黄泉平坂】不知不覚(ふちふかく)

「さあ、お前は俺の相手をしてもらおうか・・・計画の邪魔したお礼だよ」
カダマシと呼ばれた大柄な男が可奈子に迫ってきた。近くで見るとなおさら大きい。その大きさに圧倒され、可奈子は震えが止まらなくなる。
何!?この人たち・・・一体何なの!?
「おい!どうした!?」
子どもたちの悲鳴が聞こえたのか、事務棟から武田くんが走ってきた。その後ろにはもうひとりの女性支援スタッフである木村さんの姿も見える。
「た・・・助けて!!」
武田くんが可奈子と、それを襲わんとするカダマシに気づき、目を剥いた。
「何だ!?お前ら!」
「け、警察を・・・!」
木村が踵を返して事務室に向かおうとする。
「ちっ・・・面倒だなあ」
一言、言うと、カダマシが思いっきり地面を蹴った。蹴られた廊下がミシリときしみを上げてひび割れるほどの力だった。その蹴りの力の反作用は、カダマシの100キロを越える巨体を軽々と中空に舞い上げるだけの運動量をもたらす。
「ひぃ!!」
腰を抜かした可奈子を飛び越え、カダマシは一瞬の内に武田の元までジャンプしてきた。そして、無造作に裏拳で武田の横面を張る。その力で武田は3メートルほど飛ばされ、立木にぶつかって、倒れた。
「おらああっ!!」
そして、一声恐ろしいほどの咆哮を上げると、開いた右手を横薙ぎにする。たったそれだけの動きで、風圧による衝撃波を生み出す。衝撃波は事務室に向かう木村の背中から襲いかかり、彼女を壁に強烈に押し付けた。
「あ・・・あああ・・・・」
一瞬だった。カダマシと呼ばれた怪人が腕を二、三回振っただけで、あっという間に2人の大人が吹き飛ばされてしまった。2人共、ピクリとも動かない。
し・・・死んでしまったの?
可奈子の目に恐怖のあまり涙が滲む。動けない可奈子を尻目に、カダマシは木村の方に寄っていき、しゃがみ込んだ。
「なんでぇ、ババアかよ・・・こいつはいらねえや」
そう言って、可奈子の方に向き直る。
「いただくのはお前だけでいいや・・・、ま、時間もねえしな」
おおい!早く済ませろよ、というクチナワの呑気な声が居室棟から聞こえてくる。
カダマシの大きな手が可奈子に襲いかかってきた。
カダマシと呼ばれた大柄な男が可奈子に迫ってきた。近くで見るとなおさら大きい。その大きさに圧倒され、可奈子は震えが止まらなくなる。
何!?この人たち・・・一体何なの!?
「おい!どうした!?」
子どもたちの悲鳴が聞こえたのか、事務棟から武田くんが走ってきた。その後ろにはもうひとりの女性支援スタッフである木村さんの姿も見える。
「た・・・助けて!!」
武田くんが可奈子と、それを襲わんとするカダマシに気づき、目を剥いた。
「何だ!?お前ら!」
「け、警察を・・・!」
木村が踵を返して事務室に向かおうとする。
「ちっ・・・面倒だなあ」
一言、言うと、カダマシが思いっきり地面を蹴った。蹴られた廊下がミシリときしみを上げてひび割れるほどの力だった。その蹴りの力の反作用は、カダマシの100キロを越える巨体を軽々と中空に舞い上げるだけの運動量をもたらす。
「ひぃ!!」
腰を抜かした可奈子を飛び越え、カダマシは一瞬の内に武田の元までジャンプしてきた。そして、無造作に裏拳で武田の横面を張る。その力で武田は3メートルほど飛ばされ、立木にぶつかって、倒れた。
「おらああっ!!」
そして、一声恐ろしいほどの咆哮を上げると、開いた右手を横薙ぎにする。たったそれだけの動きで、風圧による衝撃波を生み出す。衝撃波は事務室に向かう木村の背中から襲いかかり、彼女を壁に強烈に押し付けた。
「あ・・・あああ・・・・」
一瞬だった。カダマシと呼ばれた怪人が腕を二、三回振っただけで、あっという間に2人の大人が吹き飛ばされてしまった。2人共、ピクリとも動かない。
し・・・死んでしまったの?
可奈子の目に恐怖のあまり涙が滲む。動けない可奈子を尻目に、カダマシは木村の方に寄っていき、しゃがみ込んだ。
「なんでぇ、ババアかよ・・・こいつはいらねえや」
そう言って、可奈子の方に向き直る。
「いただくのはお前だけでいいや・・・、ま、時間もねえしな」
おおい!早く済ませろよ、というクチナワの呑気な声が居室棟から聞こえてくる。
カダマシの大きな手が可奈子に襲いかかってきた。

