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天狐あやかし秘譚
第63章 暗中模索(あんちゅうもさく)

☆☆☆
「お館様、いいんですか?早くしないと、陰陽寮の奴らが追いかけてきてしまいますよ?」
「カダマシたちに、早くあそこから離れるよう言いますか?」
十畳ほどの和室。四方に掛けられたろうそくが妖しく室内を照らしていた。奥座敷の、一段高くなったところに緋紅はいた。その前に例の双子の巫女服姿の女性が二人、控えている。先程のセリフは、この二人のものだ。
「スクセは鏡を使わないと、てんでダメだね。考えてご覧?どうして、僕が彼らをあそこにとどめているか」
緋紅は笑いながら言った。
「カダマシとクチナワなら陰陽寮のやつに負けやしないから、ですか?」
スクセと呼ばれた女と瓜二つの女性、キヌギヌの方が答えた。
「それもあるね」
「早く、死返玉を探させればよいではないですか?」
キヌギヌに負けじと、スクセも声を上げた。この二人はいつもこの調子だ。競い合うように緋紅の注意を引こうとする。
「スクセの沖津鏡にも場所が映し出されなかったんだ。死返玉を探すのはちょっと苦労しそうだ。神宝同士は引き合うから、いずれは僕の手に落ちるとしても、ね?面倒事は嫌だろ?それで、考えたんだよ・・・一石二鳥の方法を」
緋紅の顔が歪む。緋紅の顔は特徴に乏しい。造作が悪い訳では無いが、取り立てて良い男、というわけではない。普通の表情をしていれば、多くの人がその顔を記憶にすら残さないだろう。しかし、このときの彼の顔を見た人は、きっと生涯、それを忘れることはないだろう。それほどに、その表情は溢れた嗜虐心で歪んでいるような笑みだった。
「えー!なんです?教えてくださいませ・・・キヌギヌに」
「スクセにも、スクセにも教えてください!」
媚びを売るような二人の女。緋紅が黙って手を差し伸べると、その意味を介したのか、畳の上を這うように寄ってきた。
「聞きたいかい?なら・・・先に今日の奉仕をしてもらおうか」
「はい・・・喜んで」
「もちろんですわ・・・お館様」
緋紅の言葉を理解した二人の女の目は、この先に起こることを予期し、愛欲に濡れ、揺れていた。差し出した指を先にたどり着いたスクセが愛おしげに口に含み、まるで陰茎を口淫するかのようにぺちゃぺちゃと舐め始めた。
少し遅れたキヌギヌは緋紅にしなだれるようにまとわりつき、首筋に舌を這わせる。
「お館様、いいんですか?早くしないと、陰陽寮の奴らが追いかけてきてしまいますよ?」
「カダマシたちに、早くあそこから離れるよう言いますか?」
十畳ほどの和室。四方に掛けられたろうそくが妖しく室内を照らしていた。奥座敷の、一段高くなったところに緋紅はいた。その前に例の双子の巫女服姿の女性が二人、控えている。先程のセリフは、この二人のものだ。
「スクセは鏡を使わないと、てんでダメだね。考えてご覧?どうして、僕が彼らをあそこにとどめているか」
緋紅は笑いながら言った。
「カダマシとクチナワなら陰陽寮のやつに負けやしないから、ですか?」
スクセと呼ばれた女と瓜二つの女性、キヌギヌの方が答えた。
「それもあるね」
「早く、死返玉を探させればよいではないですか?」
キヌギヌに負けじと、スクセも声を上げた。この二人はいつもこの調子だ。競い合うように緋紅の注意を引こうとする。
「スクセの沖津鏡にも場所が映し出されなかったんだ。死返玉を探すのはちょっと苦労しそうだ。神宝同士は引き合うから、いずれは僕の手に落ちるとしても、ね?面倒事は嫌だろ?それで、考えたんだよ・・・一石二鳥の方法を」
緋紅の顔が歪む。緋紅の顔は特徴に乏しい。造作が悪い訳では無いが、取り立てて良い男、というわけではない。普通の表情をしていれば、多くの人がその顔を記憶にすら残さないだろう。しかし、このときの彼の顔を見た人は、きっと生涯、それを忘れることはないだろう。それほどに、その表情は溢れた嗜虐心で歪んでいるような笑みだった。
「えー!なんです?教えてくださいませ・・・キヌギヌに」
「スクセにも、スクセにも教えてください!」
媚びを売るような二人の女。緋紅が黙って手を差し伸べると、その意味を介したのか、畳の上を這うように寄ってきた。
「聞きたいかい?なら・・・先に今日の奉仕をしてもらおうか」
「はい・・・喜んで」
「もちろんですわ・・・お館様」
緋紅の言葉を理解した二人の女の目は、この先に起こることを予期し、愛欲に濡れ、揺れていた。差し出した指を先にたどり着いたスクセが愛おしげに口に含み、まるで陰茎を口淫するかのようにぺちゃぺちゃと舐め始めた。
少し遅れたキヌギヌは緋紅にしなだれるようにまとわりつき、首筋に舌を這わせる。

