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天狐あやかし秘譚
第64章 竜虎相搏(りゅうこそうはく)
最後は御九里だ。まだ先程の怒りが収まってないらしく、ぶすっとふくれっ面をしている。
「俺は御九里。御九里牙城(みくりがじょう)。もう知ってだろ?祓衆、『属の三位』。術式は金だが、俺だって他のもいける」

日暮によると、御九里と九条は同期とのことだ。この世代ではトップクラスに出世が早いらしい。御九里は霊力の絶対量は大きいが技が荒削り、一方、九条は研究者肌な所があり、様々な術式に精通している『万能型』であるものの、術の出力自体は陰陽博士の中では『並』ぐらいだという。ただ、タイプこそ違うが、ふたりともある意味天才肌、だと日暮は評していた。

ああ、そういうのもあって、張り合ってる感じか・・・。
位階が同じ、というのもなんとなく気に入らないのかもしれない。九条が『まだ』属の三位です、と言ったり、御九里が『俺だって』などとわざわざ言ったりしてるところから、互いに相当意識している様子がうかがえる。二人ともおそらく競争心が強いのだろう。

御九里の自己紹介の後、ぼんやり考え事をしていたところで、『で?』という感じで九条と日暮が私の方を見てきた。あ、そうか、私もか・・・。

「え・・・っと、私は浦原綾音。いちおう所属は祓衆で・・・陰陽師?です」
そして、続けて、決して自分では話さないだろうダリに代わって彼の自己紹介(他己紹介?)もした。
「こちらはダリ・・・天狐っていうものすごい強い・・・妖怪です」

術式、とか言ったほうがいいのかな?
若干悩んでいると、日暮が会話を引き取ってくれた。

「ダリさんのことは陰陽寮の誰もが知っていますよ。天狐ダリ、創世の槍である天魔反戈(あまのかえしのほこ)を使い、超妖力で天候を操り雷を呼ぶほか、結界術、回復術など多数の力を自在に操る、間違いなく日本最強の妖怪のひとり・・・ですよね」

じっと、日暮がダリを見つめる。うるるっとしたその目を見て、一瞬あれ?この子もダリを・・・とか思いそうになったが、よく見るとその目は、恋する乙女のそれではなく、どちらかと言うと、興味深い研究対象に巡り合った研究者の目だとわかる。

土門さんと同類なのだろう。
いわば彼女もマッドソーサラー系である。
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