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天狐あやかし秘譚
第64章 竜虎相搏(りゅうこそうはく)

本部に連絡を入れ、追撃をする旨を伝える。本部は急ぎ体制整え、速やかな増援を約束したようだった。
土御門様からのメッセージがあるそうです、というので、御九里が『どんな?』と尋ねたところ、日暮はただ一言、「『死ぬな』だそうです」と言った。その言葉に、何を思ったのか、御九里はちょっと中空を見ると、『けっ』と一言だけ声を上げた。
「急ぎましょう。敵は山頂に向かって動き出しました」
九条が自分の荷物である小さなリュックを背負いながら、冷静に式神が見ている光景を皆に告げた。その横で、気を取り直した御九里が車のトランクから大太刀を取り出して背中にくくりつけていた。その様子を見て私も、慌てて申し訳程度の装備が入った小さなバックパックを背負った。
「では、私と御九里さん、九条さんと天狐さん・・・と浦原さんのチームで動きます。今の状況で最悪の事態は、なんの手がかりも得られないまま彼らに逃亡を許すことです。左右から挟み撃ちをしましょう。九条さん、白鷺姫を一羽、私につけてください。チーム同士はこれで通信しあいましょう」
日暮の言葉に応じ、九条が天に手を伸ばす。すると程なく、式神の内の一羽が舞い戻ってきて日暮の肩にとまった。日暮が白鷺姫に話しかければ九条に情報が伝わり、九条の意思は式神を通じて日暮まで伝わるのだそうだ。簡易通信機みたいなものだ。式神を複数扱える九条だからこそできる芸当である。
「では、散開します!」
日暮の合図とともに、御九里、日暮、九条が走る。私は・・・いつの間にか狐神モードとなったダリが何も言わずにひょいと横抱きにして走り出してしまう。
「えっ!ちょ・・・ダリ!!」
「急ぐのであろう?こちらのほうが早い」
まあ、本来は、我ひとりで片付けるのが一番早いがな・・・と、ポツリ付け加える。ああ、ここにもいたよ、ナルシストが・・・。まあ、ダリの場合は、それがあながち誇張じゃないのだが・・・。
土御門様からのメッセージがあるそうです、というので、御九里が『どんな?』と尋ねたところ、日暮はただ一言、「『死ぬな』だそうです」と言った。その言葉に、何を思ったのか、御九里はちょっと中空を見ると、『けっ』と一言だけ声を上げた。
「急ぎましょう。敵は山頂に向かって動き出しました」
九条が自分の荷物である小さなリュックを背負いながら、冷静に式神が見ている光景を皆に告げた。その横で、気を取り直した御九里が車のトランクから大太刀を取り出して背中にくくりつけていた。その様子を見て私も、慌てて申し訳程度の装備が入った小さなバックパックを背負った。
「では、私と御九里さん、九条さんと天狐さん・・・と浦原さんのチームで動きます。今の状況で最悪の事態は、なんの手がかりも得られないまま彼らに逃亡を許すことです。左右から挟み撃ちをしましょう。九条さん、白鷺姫を一羽、私につけてください。チーム同士はこれで通信しあいましょう」
日暮の言葉に応じ、九条が天に手を伸ばす。すると程なく、式神の内の一羽が舞い戻ってきて日暮の肩にとまった。日暮が白鷺姫に話しかければ九条に情報が伝わり、九条の意思は式神を通じて日暮まで伝わるのだそうだ。簡易通信機みたいなものだ。式神を複数扱える九条だからこそできる芸当である。
「では、散開します!」
日暮の合図とともに、御九里、日暮、九条が走る。私は・・・いつの間にか狐神モードとなったダリが何も言わずにひょいと横抱きにして走り出してしまう。
「えっ!ちょ・・・ダリ!!」
「急ぐのであろう?こちらのほうが早い」
まあ、本来は、我ひとりで片付けるのが一番早いがな・・・と、ポツリ付け加える。ああ、ここにもいたよ、ナルシストが・・・。まあ、ダリの場合は、それがあながち誇張じゃないのだが・・・。

