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天狐あやかし秘譚
第64章 竜虎相搏(りゅうこそうはく)
☆☆☆
広場では二組の戦闘が繰り広げられていた。

ひと組目は、木の上から爆弾たる小玉鼠をボロボロと落としてくるクチナワ対御九里・九条ペア。もう一組は、筋骨隆々たる大男たるカダマシ対天狐ダリである。

ダリは素早くカダマシに槍撃を繰り出すが、彼はその巨体に似合わぬ俊敏さで、ことごとくその攻撃の軌跡を避けていく。そして、隙を見ては地面に落ちている石を掴むと無造作にダリに向かって放り投げていた。攻撃方法自体はなんということはないのだが、その常識はずれの膂力で投げられた石ころは大砲並の威力があるようで、樹に当たれば容易に樹を貫き、地面に当たればそれを大きく抉り取っていく。今のところ、ダリがその攻撃を食らうことはないものの、一撃でも当たれば大きなダメージをとなるのは目に見えていた。

「ち・・・神宝の力か・・・面倒だな」
ダリは独り言ちをすると、その槍をヒュンと回転させる。

この手の相手に小細工は無用か・・・。力押しを得手とする相手であるなら、それを上回る力と疾さで押し切る!
それが彼の結論だった。

やりを脇構えにしたまま、後ろに飛び、一旦距離を取る。ヒュウと息を吸い、妖力を高める。その全身が総毛立ち、薄っすらと身体の表面を白色の光が覆っていった。

一気に・・・行くぞ!

足を蹴る。刹那、疾風がダリとカダマシを結ぶ直線状を吹き抜ける。実際にはその風邪よりも早くダリの古槍の穂先がカダマシの喉笛を捉えていた。

殺った!

その槍を握る手に、肉を引き裂く感触を期待する。しかし・・・

ガチン!

その穂先はまるで鋼の塊に突き当たったかのような感触とともに、大きく弾かれる。ダリの目がニヤリと笑うカダマシの表情を捉える。左側から嫌な殺気を感じ、彼は姿勢を崩しながらも大きく後ろに跳躍した。回避行動をとる彼の顔のすぐ前をものすごい威力の何かが通り過ぎる。それが、カダマシの腕であることに気づいたのは、後ろに飛び、着地した後だった。

この槍撃を防ぐのか!?

カダマシは神宝の力でその皮膚を鋼のそれに変化させたに違いない。驚くことに、その硬度はダリの膂力と神の武器である天魔反戈の力を凌駕したということだ。

そして、たらりと、鼻先からなにか温かいものが滴るのを感じた。
それがカダマシの腕の通過による己の顔につけられた傷だと理解し、ダリは『嗤った』。
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