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天狐あやかし秘譚
第64章 竜虎相搏(りゅうこそうはく)

何ぞ・・・1000年ぶりじゃな。
もちろん、これしきの傷、妖力により瞬きほどの時間で癒えてしまう。しかし、彼としては、己の渾身の槍撃を受け切り、なおかつ反撃してくるほどの相手に出会えたことは、久しく滾ることのなかった闘争本能を呼び覚ますのに十分な起爆剤となっていた。
「主・・・いいな」
ダリの槍を握る手に力がこもる。カダマシもまた、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながら油断なくダリの一挙手一投足に注意を払う。彼もまた愉しそうに嗤っていた。
カダマシとダリの戦いの一方、広場の反対側では、連続した爆発がいくつもいくつも起き、そのたびに地面が揺れ、土煙が上がっていた。九条は、オレンジの閃光と土煙に紛れて素早く移動しつつ、手にした棒の先端にある宝玉から伸びた青色の鞭のようなもので地面を薙ぎ払っていた。薙ぎ払われた小玉鼠は鞭に接触すると半径5メートルぐらいを巻き込む爆炎を上げ、耳をつんざく音を立てて破裂した。
何かが強い力で接触すると爆発する。
もしくは、術者の指示で爆発する。
これが小玉鼠の能力というか、特性であるようだ。
木の上にいるクチナワがその身にまとっている蛇肩巾は、同じく神宝使いのシラクモが『虫』を無数に呼び出して操れるのと同じように、『地を這うもの』を呼び出し、操ることができる。そして、シラクモとクチナワの違いは、呼び出せるもののカテゴリーの違いだけではなかった。シラクモよりも以前より神宝を使うことに慣れているクチナワは、その力をより強く引き出すことができていたのだ。
それが『幻獣』の召喚である。
シラクモが現実に認識されている普通種の昆虫を召喚するのに対して、クチナワは獣をベースとした妖怪の類も呼び寄せることができた。小玉鼠もその一種である。
「はーっははは!死ね死ねぇ!!」
地表では九条により次々と小玉鼠が破裂させられているが、一向にその数が減じることはない。それもそのはずである。木の上にいるクチナワの掌からは次々と小玉鼠が生み出されているからだ。
「切りが無い・・・ですねっ!」
もちろん、これしきの傷、妖力により瞬きほどの時間で癒えてしまう。しかし、彼としては、己の渾身の槍撃を受け切り、なおかつ反撃してくるほどの相手に出会えたことは、久しく滾ることのなかった闘争本能を呼び覚ますのに十分な起爆剤となっていた。
「主・・・いいな」
ダリの槍を握る手に力がこもる。カダマシもまた、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながら油断なくダリの一挙手一投足に注意を払う。彼もまた愉しそうに嗤っていた。
カダマシとダリの戦いの一方、広場の反対側では、連続した爆発がいくつもいくつも起き、そのたびに地面が揺れ、土煙が上がっていた。九条は、オレンジの閃光と土煙に紛れて素早く移動しつつ、手にした棒の先端にある宝玉から伸びた青色の鞭のようなもので地面を薙ぎ払っていた。薙ぎ払われた小玉鼠は鞭に接触すると半径5メートルぐらいを巻き込む爆炎を上げ、耳をつんざく音を立てて破裂した。
何かが強い力で接触すると爆発する。
もしくは、術者の指示で爆発する。
これが小玉鼠の能力というか、特性であるようだ。
木の上にいるクチナワがその身にまとっている蛇肩巾は、同じく神宝使いのシラクモが『虫』を無数に呼び出して操れるのと同じように、『地を這うもの』を呼び出し、操ることができる。そして、シラクモとクチナワの違いは、呼び出せるもののカテゴリーの違いだけではなかった。シラクモよりも以前より神宝を使うことに慣れているクチナワは、その力をより強く引き出すことができていたのだ。
それが『幻獣』の召喚である。
シラクモが現実に認識されている普通種の昆虫を召喚するのに対して、クチナワは獣をベースとした妖怪の類も呼び寄せることができた。小玉鼠もその一種である。
「はーっははは!死ね死ねぇ!!」
地表では九条により次々と小玉鼠が破裂させられているが、一向にその数が減じることはない。それもそのはずである。木の上にいるクチナワの掌からは次々と小玉鼠が生み出されているからだ。
「切りが無い・・・ですねっ!」

