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天狐あやかし秘譚
第65章 主客転倒(しゅかくてんとう)
☆☆☆
【上記の緋紅とキヌギヌの会話から遡ること10時間前】

「もういいわよ・・・お姉ちゃん」
キヌギヌの声でやっと、自身のアナルをかき回していたスクセの指が止まる。ぬぽっと指が抜かれるが、それでもなお、びくん、びくんと不随意に震える身体の痙攣が止まらない。一晩中、自らの指でアナルを慰め続け、イキ続けていたのだ。スクセは何度も意識をなくしそうになっていた。
「ありゃりゃ・・・アナニーでこんなにイッちゃって・・・好きモノねえ。べちょべちょじゃない・・・潮吹きまくり、おしっこ漏らしまくり・・・。あ、そうそう・・・えっと、お館様のご指示よ。これからが罰の本番。ヤギョウの部屋に放り込め、ですって」
その言葉に、意識が薄れかけたスクセの目が見開かれる。

ヤギョウ・・・あの化け物!?

「い・・・イヤ!・・・ヤギョウ・・・イヤよ。堪忍・・・堪忍してぇ!」

ふふふ、とキヌギヌが含み笑いをする。先程までたっぷりと緋紅と交わり、愛された彼女も相当疲れているはずだったが、愛されている悦びのためか、肌艶はいつもよりいいくらいだった。一方、同じ顔をしたスクセの顔はこれからの運命を思い、蒼白になっている。

それだけ、ヤギョウという化け物による『責め』のキツさを心得ているのだ。

「ダメよお姉ちゃん。お館様のご指示よ?でもまあ、そうねえ・・・ちょっと可愛そうだから、身体洗って、御飯食べるのくらいは許してあげようっかなあ」

そう言って、キヌギヌがスクセに許したのはたった2時間の休憩だった。彼女らにとってお館様、つまりは緋紅の指示は絶対だった。逆らうことなどできない。下手に2時間の猶予が与えられたことで、スクセの絶望はいや増していく。その気持ちを抱えたまま、風呂に入り、最低限の食事を摂った。後の時間はぐったりと眠り続けることしかできない。意識をなくしているほんのひとときだけが彼女に許された束の間の安息だった。

2時間後、午前9時・・・。それはおそらく『罰』の時間が、ヤギョウの朝食の時間の後に設定されているからだろう。風呂に入る時間を確保したり、食事を摂らせたのは、キヌギヌの優しさとのみ解釈できるものではないことをスクセは理解していた。
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