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天狐あやかし秘譚
第70章 反転攻勢(はんてんこうせい)
☆☆☆
「お館様、カダマシは上手くやっているかしら?」

いつもの和室。肘掛けのついた座椅子に腰掛けている和服の男。見ようによってはハンサムと言えなくもないけれども、特徴がないといえば特徴がない。この屋敷の主人の緋紅はそんな容貌だった。

「ああ、どうだろうね」
あまり関心がなさそうにぼんやりとしている。

「まあ、うまくいってるんじゃない?」

左手に座っている巫女服の女、キヌギヌに目を向ける。キヌギヌはうるうると濡れたような目で緋紅を見上げていた。その唇は湿っており、淫猥な雰囲気を漂わせている。

キヌギヌは実際、この緋紅の回答を聞いて少しホッとしていた。もし、緋紅が『状況を知りたい』と言ったら、それはキヌギヌの持つ辺津鏡ではなし得ないからである。

姉のスクセが持っているのは、遠くと未来を見る『沖津鏡』
キヌギヌが持っているのは、近くと内面を見る『辺津鏡』

キヌギヌは、人の内面を覗き、それを意のままに操ることができる、自分の持つ辺津鏡の方が優れていると思っているが、こういった状況で遠見をするのは沖津鏡の仕事である。いくら双子とは言え、姉の神宝を使うことはキヌギヌにはできない。

でも、今、緋紅の関心は戦況の把握にない。
それならば、緋紅の機嫌が悪くなることはない。
しかも、先刻までヤギョウに犯されまくっていた姉は、廃人のようになって、今は別室で寝かされている。

このまま良い状況が続けば、今夜も自分が緋紅を独占できる。

ふふ・・・

「ん?どうした?キヌギヌ?何かいいことがあったかい?」

つい含み笑いをしてしまったのを気取られてしまったみたいだった。慌てて取り繕う。あくまでもここにいる時は私情を捨て、お館様の付き人ととして振る舞う・・・そういう事になっている。かわいがってもらうのは、あくまでも閨での時間だけなのだ。

ただ・・・

そろそろ時刻は24時を過ぎようとしている。カダマシからの報告では明日の20時に死返玉の入手期限を設定しているということだ。カダマシ自身があの妙な狐男に付き添って一緒に探索するということなので、もう少し早く手に入るかもしれないが、あの男の面倒くさがりの性格からして、『先にホテルで休ませろ』くらい言ってそうだ。
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