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異世界転移したら王子様付きのメイドになりました
第2章 メイドのお仕事
メイドのお仕事とは、主人よりも早く起きて、朝の支度やモーニングティーを入れ、ご主人様を起こしてからの業務に取り掛かる。と言うのが私の中のメイドのお仕事···だと思っていたのだけれど。
召喚されてしまった物は仕方がないと切り替えて、早速昨日の今日で仕事の内容を聞き、朝起こしに行った結果···。
「ぐぬぬぬぬ···」
「···」
現在進行形で抱き枕にされる羽目になっていた。
超高級そうなやたら肌触りが良い羽毛の掛け布団に手をかけめくり、「殿下、起きてください。朝です」と業務内容を伝えるべく起こすように声をかければ、突如手首を掴まれてぼふんっとベッドにダイブさせられたかと思いきや、ぎゅぅぅぅっと背中に腕を回されて抱き締められた状態になってしまった。
こんな所誰かに見られでもしたら大変!いらぬ誤解を招く恐れが大だ。しかも婚約者だったならば、私の頭と胴体が最悪さようならしてしまう未来しかない。とにかく今は殿下と距離をとらねば!私は殿下の腕を掴んで離そうと試みる。
「殿下!起きてください!···ヒッ!」
(うわっ!ちょっと···!?)
が、あろう事か、殿下はもがく私をよそに胸に顔を埋めて気持ち良さそうに寝息を立てているではないか。せっかく支給してもらったメイド服も、これでは直ぐに皺になってしまうだろう。···もちろん、そんな格好で部屋から出られない。
「殿下、殿下···起きてくださいってば!」
「ん───···」
自由な手を殿下の背中に回してぽんぽんと叩けば、整った眉が密かに動いた。