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人外に愛される【短編集】
第1章 インキュバスくんは愛したい
俺が彼女に会ったのは、まだ淫魔としても未熟だった頃だ。





人間を惑わす様な能力も無く、眷属を作れる様な魅了すら持たない。

そんな頃に小さな村で、小さな女の子を見つけた。





その子は、入ってはいけないと言われている禁忌の森に入ってしまい。

森から出られずに泣いていた。

周りにはいつ彼女に襲い掛かろうと、機会を狙っている低級な魔物達もチラホラ見えていた。






薄暗い森の静けさの中で、少女の泣き声が俺を呼んでいる様に聞こえた。

白いワンピースを着た小さな女の子が、蹲っているのが見えた。







「道に迷ったの?」

急に聞こえた声に、少女はビックリした様に顔を上げて俺を見た。

少女の大きな青い目が現れ見つめると、今度は自分の肩が大きく跳ねたのが分かった。






淫魔らしい角と尻尾は隠していた。

彼女の目には俺は人間の子供の様に写っていたはずだ。

だけど、透き通った彼女の目に映った自分の姿は、ハッキリと角が見えていた。






「……村に帰れなくなっちゃったの……。」

どうやら彼女に角は見えていない様だ。

俺は安心した様に肩をすくめた。







「泣かないで、村には俺が連れて行ってあげるから。」

そう言って差し伸ばした手を、彼女はジッと見ていた。

「……ありがとう……。」






差し出した俺の手を掴もうと、彼女の手が触れた。

「!!!」

その瞬間、俺の体が雷に打たれた様に衝撃が走った。






息が荒くなり、自分の顔が赤くなるのが分かった。

全身を貫いた衝撃は、そのまま俺の下半身に集中した。

急激に痛む様に疼く下半身に、俺はただ息を荒く吐いていた。






「?大丈夫?」

顔を真っ赤にして、冷や汗をかいている俺を、心配した様に彼女は顔を覗き込んだ。


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