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白昼夢
第4章 電話
「そうだよ、お酒だよ、一緒に飲みたいなぁ…」
私は貴博が亡くなってから身体がアルコールを受け付けなくなり飲めなくなっていた。
なので、最近は殆どノンアルビールばかりだったのだ。
「私、身体がアルコールを受け付けないの、でもノンアルなら飲めるし酔った感じになれるわ…」
「そうか、飲めないんだね、でもノンアルで酔えるなら安上がりかもね?」
そう言うと電話の向こうで笑っている様だった。
私は、自分の持病の事を伝えなくてはならないと思っていた。
「実はね、古川さん、私、病気持ちなのよ…」
「何の病気なの?」
「精神疾患よ、躁鬱病なのよ…」
「え?そうなの?なら、尚更俺が一緒にいて支えてあげるよ…」
何と言う優しい返事だろうか。
そう、私は思ってしまった。
「ありがとう、その一言がとても嬉しいわ…」
「だって、俺、真理子さんの彼氏になるんじゃん、当たり前だよ…」
こうやって古川はグイグイと押してくるのだった。
「付き合うか付き合わないかは会って見ないと分からないわ…」
「そうなの?」
「そうよ…」
そう私が言うとちょっと淋しそうな声が聞こえて来た。
その返事を聞いて古川は話題を変えて来た。
「俺、最近、ある女の子とセックスしたんだけどさぁ…」
「え?せ、セックス?」