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白昼夢
第5章 訪問
私の部屋はそんなに広くはない。
6畳二間に6畳のキッチンがある。
バス、トイレは別々になっている。
ひとつの6畳の部屋にはテレビを置き、ダイニングテーブルやコンポが置いてあった。
もうひとつの6畳の部屋にはシングルベッドとパソコン机が置いてあるだけだった。
でも、一人で暮らすにはちょっとだけ荷物が多かった様に感じた。
なるだけ余り部屋の中を見られたくなかったので、片っ端から必要ない物を片付けて行った。
それにかなりの時間が掛かってしまったのだ。
そして、夏服の花柄のちょっと可愛らしい感じのするワンピースに着替えるとドレッサーの椅子に腰かけて念入りにメイクを始めた。
私は普段、そんなにメイクをする方ではなかった。
だが、これから会う相手は25歳も年下の男なのだ。
なるだけ自分を綺麗に見せたいと言う気持ちが強かった。
実際に会って見て古川に幻滅されるのを非常に恐れていたのだ。
それと、同時にとても緊張していた。
私は緊張のあまり精神安定剤を1錠飲むことにしたのだ。
精神安定剤を飲むと緩やかではあったが徐々に落ち着いてくるのを感じていた。
時計を見ると11時を回った頃だった。
後少ししたら、古川がやってくる。
私は、緊張していたが、愉しみでもあったのだ。
私は落ち着かない様子でベッドに腰かけて考えていた。
少しでも自分がリラックスできるように音楽CDをコンポに入れて再生ボタンを押した。
部屋には緩やかなジャズの曲が流れ始めて部屋を満たしてゆくのだった。