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白昼夢
第10章 エピローグ
「お待たせしました、こちらへどうそ…」
そう言われて、私はバッグを預けると大きな鏡が設置されている椅子に腰かけた。
鏡に映った自分の姿を見ると、随分と老けた様にも感じてしまう。
暫くすると、美容室の店長の様な男性が現れた。
「おはようございます…今日はご来店ありがとうございます…」
「おはようございます、今日はよろしくお願いします…」
そんな挨拶を私はしたのだ。
すると店長らしい男性がこう言ってくる。
「どれくらい切りましょうか?」
「いえ、今日は髪型を変えたくて来たんですけど…」
「どんな髪型になさいますか?」
「ショートのマッシュボブにしたいんですが、私に似合いますか?」
そう私が言うと美容師はこう言うのだ。
「大丈夫ですよ、お客様は顔が小さくて頭も小さいですよね?お似合いになると思います…」
「そ、そうですか?」
「はい、大丈夫ですよ…」
「なら、丸い感じにカットしてください…」
「分かりました…」
そう言うと美容師は私の髪をカットしてゆく。
カットされながら私は古川のことを考えていた。
別に、古川とまたどうにかなりたいと思っていた訳ではない。
髪を切り髪型を変える事で古川の事について心の整理をしたかったのだ。