この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
許される条件
第13章 罠
2023年9月29日 PM3:00
呼び出された駅前のコーヒーショップに入った時。
高木が腕を上げているのが見えた。
席に近寄ると立ち上がった男が言った。
「呼び出して、ゴメン・・・。
このコーヒーは今、持ってきたばかりだから」
テーブルには男と反対側と、二つのカップが並んでいた。
絵美は視線を向けようともせずに男に問いただした。
「それで、本当なのですか・・・?」
潤んだ瞳が女の動揺を表しているようで、高木は綻びそうになる口元を必死に押さえるのだった。
「まぁ、落ち着いて・・・」
コーヒーを勧める男に目もくれず、絵美は聞いた。
「この写真、本当に優君なのですか・・・?」
差し出すスマホの画面に夫が映っていた。
高木の彼女、サヤカとのキスしているシーンだった。
「あ、あぁ・・・」
思惑と外れた高木は力なく答えた。
サヤカとの筋書きでは夕食に呼び出して酔ったところで、絵美の動揺を誘う予定だったのに。
彼女は毅然とした態度で翌日に会うことを提案した。
それは高木にとって計算外だった。
サヤカを通して、優太が昨日から出張で不在だと聞いていたからだ。
夫の浮気に動揺する絵美を、動揺の隙に付け込むつもりだったのに。
「そうですか・・・」
絵美は興奮するでもなく事務的な声を出した。
「では、これで・・・」
「ち、ちょっと・・・」
慌てて引きとめる高木の手を絵美は冷たく振りほどいた。
そして、フッと口元を緩めると小さく呟いた。
「相変わらず・・・ね?」
そのまま、振り返りもせずに店を出て行った。
取り残された高木は声を出すことも出来ずに、只、立ちすくむだけだった。
呼び出された駅前のコーヒーショップに入った時。
高木が腕を上げているのが見えた。
席に近寄ると立ち上がった男が言った。
「呼び出して、ゴメン・・・。
このコーヒーは今、持ってきたばかりだから」
テーブルには男と反対側と、二つのカップが並んでいた。
絵美は視線を向けようともせずに男に問いただした。
「それで、本当なのですか・・・?」
潤んだ瞳が女の動揺を表しているようで、高木は綻びそうになる口元を必死に押さえるのだった。
「まぁ、落ち着いて・・・」
コーヒーを勧める男に目もくれず、絵美は聞いた。
「この写真、本当に優君なのですか・・・?」
差し出すスマホの画面に夫が映っていた。
高木の彼女、サヤカとのキスしているシーンだった。
「あ、あぁ・・・」
思惑と外れた高木は力なく答えた。
サヤカとの筋書きでは夕食に呼び出して酔ったところで、絵美の動揺を誘う予定だったのに。
彼女は毅然とした態度で翌日に会うことを提案した。
それは高木にとって計算外だった。
サヤカを通して、優太が昨日から出張で不在だと聞いていたからだ。
夫の浮気に動揺する絵美を、動揺の隙に付け込むつもりだったのに。
「そうですか・・・」
絵美は興奮するでもなく事務的な声を出した。
「では、これで・・・」
「ち、ちょっと・・・」
慌てて引きとめる高木の手を絵美は冷たく振りほどいた。
そして、フッと口元を緩めると小さく呟いた。
「相変わらず・・・ね?」
そのまま、振り返りもせずに店を出て行った。
取り残された高木は声を出すことも出来ずに、只、立ちすくむだけだった。