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展翅室
第1章 展翅室

「拘束されるだけの簡単なお仕事です、時給1万円。簡単なプロフィールや意気込みなどを添え、〇〇のアドレスまでご連絡下さい」
萌子は偶然、その怪しい広告を目にした。そして、迷いながらも、そのアドレスに応募してみることにした。大学生で、遊ぶお金も欲しいので、やはり多少のバイトはした事があるが、あまりピンときたものがないというのがその理由だった。人付き合いもそこそこで、時給もそこそこいいバイトなら、やってみたい、そんな気分だった。
面接場所に指定された、あるビルの一室は、狭いバーのような雰囲気だった。
「よくお越し下さいました。私がマスターのシラサキです。とりあえず、そこにおかけ下さい」
シラサキは、カウンターの椅子を指した。
「ウチは会員制のフェティッシュバーです。バーの名前は”展翅室”と言います」
シラサキは一枚の名刺を手渡してきた。
「てんし、しつ。ですか」
その名刺に書かれた漢字を、萌子は初めて見た気がした。
「てんし、って、ご存知ないですか? あの、チョウチョとかの標本で良くあるでしょ。ハネを広げて、虫ピンで固定されている……。理科で習ったかもしれないなぁ」
あ、なるほど、と萌子は思い出した。
「ここでは、人間が標本になってもらうんです。人間、というより、可愛い女の子、ですがね」
シラサキは、少し笑みを浮かべながら言った。
「フェティッシュバー、というのは、フェチな趣味を持つお客様とか、興味があるお客様が集まるバーのことです。指フェチとか、足フェチとか、分かりますよね」
ウチでは、バーの話のタネとして、全裸の女の子が展翅されて、そこの壁に固定されるんです、と、シラサキがいきなり、核心について話し始めた。
えっ、と驚いて、萌子はシラサキが指した、奥の壁を見た。薄暗くてよく見えないが、四方に何かの金具がついているようだ。
「あの壁に全裸で展翅されるだけの、簡単なオシゴトです。これで面接は終わりです。合格ですので、興味があれば、明日の夕方5時に、またこちらにお越し下さい」
シラサキは、一方的にそこまで喋り終えた。
萌子は偶然、その怪しい広告を目にした。そして、迷いながらも、そのアドレスに応募してみることにした。大学生で、遊ぶお金も欲しいので、やはり多少のバイトはした事があるが、あまりピンときたものがないというのがその理由だった。人付き合いもそこそこで、時給もそこそこいいバイトなら、やってみたい、そんな気分だった。
面接場所に指定された、あるビルの一室は、狭いバーのような雰囲気だった。
「よくお越し下さいました。私がマスターのシラサキです。とりあえず、そこにおかけ下さい」
シラサキは、カウンターの椅子を指した。
「ウチは会員制のフェティッシュバーです。バーの名前は”展翅室”と言います」
シラサキは一枚の名刺を手渡してきた。
「てんし、しつ。ですか」
その名刺に書かれた漢字を、萌子は初めて見た気がした。
「てんし、って、ご存知ないですか? あの、チョウチョとかの標本で良くあるでしょ。ハネを広げて、虫ピンで固定されている……。理科で習ったかもしれないなぁ」
あ、なるほど、と萌子は思い出した。
「ここでは、人間が標本になってもらうんです。人間、というより、可愛い女の子、ですがね」
シラサキは、少し笑みを浮かべながら言った。
「フェティッシュバー、というのは、フェチな趣味を持つお客様とか、興味があるお客様が集まるバーのことです。指フェチとか、足フェチとか、分かりますよね」
ウチでは、バーの話のタネとして、全裸の女の子が展翅されて、そこの壁に固定されるんです、と、シラサキがいきなり、核心について話し始めた。
えっ、と驚いて、萌子はシラサキが指した、奥の壁を見た。薄暗くてよく見えないが、四方に何かの金具がついているようだ。
「あの壁に全裸で展翅されるだけの、簡単なオシゴトです。これで面接は終わりです。合格ですので、興味があれば、明日の夕方5時に、またこちらにお越し下さい」
シラサキは、一方的にそこまで喋り終えた。

