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展翅室
第1章 展翅室
 その時、コツコツとハイヒールの音を響かせて、客の女性が再び近づいて来た。
「ホントに可愛いわ、このコ。殺してやりたいくらい……」
 女性は手を伸ばし、萌子の首をゆっくりと、両手で絞めつけ始めた。
「ううんっ?! や、やめて下さい……!」
 急な出来事に驚いて、萌子は声をあげ、展翅された身体をバタバタと震わせた。
「ふふふっ、いいコね……」
「ホントに、標本の蝶みたいで、うつくしゅうございますね」
 男性客の声も聞こえる。
「いいんだよ、萌子、楽にしなさい」
 遠くからマスターの声も聞こえたような気がした。
 やがて、視界がゆらゆらと揺れ始め、身体のチカラが抜けていく。萌子はガラス箱の中で展翅されている蝶のように、すうっと意識を失っていった……。
 ふと目を覚ますと、もう、誰もいなくなっていた。バーは閉店したらしい。マスターのシラサキが、カチャカチャとグラスを洗っている音がする。さっきの出来事は、夢だったのだろうか。ただ、萌子のオマンコは、グチョグチョに濡れ、その足もとには、いつのまにか漏らしてしまったオシッコの水たまりができているのだった……。
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