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第2章 旅の始まり

車は順調に高速道路を進み、やがて朝比奈インターチェンジへと向かった。横浜の雑踏から徐々に遠ざかり、空気が少しずつ澄んでいくのを感じる。翔太は窓の外に広がる自然の景色に目を奪われていた。道路の両脇には青々とした木々が連なり、遠くには山のシルエットがくっきりと浮かび上がっている。

「ここからはもうすぐ鎌倉ね。」沙織はナビを確認しながら、口元に微笑を浮かべた。「最初にどこに寄ろうかしら？」

「鎌倉の大仏とか有名なところに行きたいな。でも、まずはお寺巡りがいいんじゃない？」翔太は考え込むように答えた。

「そうね、じゃあまずは円覚寺に行ってみましょうか。鎌倉五山の一つで、静かで落ち着いた場所だから、ゆっくり見て回れそうだわ。」沙織はそう答えたが、内心では、翔太とこの静寂な空間を共有することで、彼との距離がさらに近くなるのではないかという期待も隠していた。

車はしばらく山間の道を進み、やがて鎌倉市内へと入った。午前中の静寂が、少しずつ観光客の声や車のエンジン音に変わり、町全体が目覚めていくようだった。沙織は円覚寺の駐車場に車を停めると、翔太と共に静かな寺院の門をくぐった。