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第12章 カノジョ

　
「なになに？　今時ラブレター？」

「ち、違うよっ」

　真希が自席へと戻ると、美奈のニヤニヤとした表情が待ち構えていた。

　真希は真希で受け取った内容など知らず、即座に否定の言葉を吐き出す。


…で…でも……
…まさか…ホントにそうだったら……
…もしかして…真希にもとうとう春が………


　真希は否定したにも拘わらず、期待を胸に抱くやはり年頃の女の娘。

　美奈の茶化す言葉に、イヤでも中身が気になりだす。

「ねぇねぇ。見ないの見ないの？」

　机に身を乗り出す美奈。

　その眼差しは爛々として、真希以上に興味を示していた。


…どんな内容でも……
…絶対……美奈ちゃんには内緒にしとこ………


　美奈の勢いに僅かながらにたじろいだ真希は、そう心に思い留めたのだった。


…でも…真希……
……何か……忘れてるような………


　手渡された紙を机の中に仕舞い、椅子に座りなおした真希は、不意に違和感を覚えていた。


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