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School Girl
第12章 カノジョ
「あれ? そこに居るのは………」
そんな恭子に店先から声が掛かる。
「…んん?」
聞き覚えのある声に、そちらへと顔を向けた恭子の目が見開く。
「あらあらぁ」
思わずいつもの口調が口を吐けば、脚がそっちへと進み出す。
「久し振りっスねぇ、奥さん」
以前に散々な目に遭わされた八百屋の若い男が、破顔させて口を開いたのだった。
「お店…此処だったのねぇ…」
先程まで気を張って小休止とばかりに、いつもの緩い雰囲気を醸し出す恭子。
狭い間口から店内をキョロキョロと見回す。
「いつもは配達ばっかなんスけどねぇ。
今日はたまたま配達無くて…店番やらされちまいまして」
初めて店を訪れて興味津々の恭子に、八百屋は破顔した儘だった。
「奥さん、急に引っ越しちまうモンだからお得意さんも少なくなっちまって」
「あらあらぁ。ごめんなさいねぇ」
八百屋の言葉に胸を痛める恭子。
しかし、引っ越した理由など言える筈もなく、強張った笑みを浮かべるしかなかった。
「………」
「………」
一方の八百屋は、嫌味と受け取られて無理矢理笑みを浮かべているものだと思い込み、内心で焦り始めていた。
「………」
「………」
そして続く沈黙と、微妙な空気。
それを打破したのは恭子だった。