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School Girl
第16章 陶酔
 
「もぉっ、何してるの霧島さぁんっ」

「相変わらず運動はダメダメだよねぇ」

 女子が囃し立てる中、真希は小走りにボールを追い掛けていた。

「あははっ。ゴメンねぇ」

 たいして済まなそうな雰囲気を醸し出す事も無く、転がっていくボールを追い掛ける。

 ただでさえ体育が苦手な真希。

 球技などは以ての外だった。

 それでも、授業には真面目な真希。

 ミスを繰り返しながらも、みんなと一緒にサッカーを続けていた。

「待て待てぇっ」

 重い胸を弾ませて、僅かに額に汗を滲ませながらボールを追い掛ける。

 待てと言った所で止まる訳も無いボールは、花壇へと当たって姿を向こうへと消した。

「あーあ………」

 その光景に、真希は思わず立ち止まって嘆息する。

 花壇の傍まで追い掛けて来た為に、校舎側へと転がったボールを拾うには、グルッと迂回をしなければならなかった。

「もぉ……めんどくさいなぁ………」

 不満をブツブツ口にしながらもボールを見捨てる事も無く、脚は動き始めている真面目な真希。

 グルッと迂回して、授業が行われている教室の傍を通った時だった。

「あっ………」

 視界に飛び込んできた光景に、真希の脚が止まった。
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