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School Girl
第18章 揺らめき
誰の目にも明らかに、ビクッと真希の肩が跳ね上がる。
「な、何も…ないよ……」
真希の口から溢れたのは、短い言葉でも途切れるアニメ声。
「でも…真希さん………」
問い詰めるような強い口調でも無く、心配げで弱々しいシンの言葉。
その声を耳にする真希の脳裏には、駅前の工事中の雑居ビルで繰り広げられた痴態が鮮明に蘇っていた。
…真希は…真希は……
…あんな場所で……シンくん以外の男【ヒト】と………
…そんな心配されるような女じゃ………
臥せた頭頂部に感じるシンの視線。
罪悪感に塗れた真希は両手をギュッと握り締めた儘、幾度と言葉を吐きだそうとする。
…真希はもう…
…シンくんの専用には……
「…し…シン…く………うぅん。何でも……ホントに何もないからっ」
途中まで吐き出し掛けた言葉。
しかし、罪悪感を封じて吐き出されたのは偽りの言葉だった。
「最近、ちょっと体調が…ね」
バレバレだと分かっていても、作った笑顔をシンに向ける真希。
事実を伝える事も、別れを切り出す勇気も出せなかった真希。
「もう…大丈夫なんだけど……
みんなにも…シンくんにも心配させちゃったね」
嘘に嘘を重ねる言葉が、勝手に真希の口から溢れていく。
「そうだったんだ……。だから、真希さん………」
そんな真希の言葉を微塵も疑う素振りを見せないシン。
漸く、心配げな表情を崩したと思えば、次第に顔を赤らめてソワソワと落ち着きを無くしていった。
「ん? どうしたの?」
「最近…真希さん……ボクの事………
あ、あんまり……襲って来ないな……って………」
顔を赤らめながら告白するシンの姿に、真希の表情は再び翳りを帯びだした。