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第18章 揺らめき

　
「うぃーすっ。今帰ったぜぇ」

　シンを先にした二人の前に現れた若い男。

「あ、お帰り兄さん」

　シンの声に、慌てて真希も言葉を吐き出す。

「は、初めまして…お邪魔…してます」

「あいよぉ」

　真希の挨拶に軽い口調で返事をする中肉中背のシンの兄。

　その姿を前に、真希の心中はざわめいていた。


…何か…何処かで……
…あの体格と…軽い口調……
…それに………


「んで、そっちのカノジョはシンの彼女かなぁ？」

「ちょ、に、兄さんっ。そ、そうだけ…どさ………」

「んだよぉ。オレには居ねぇってのに、お前に先越されちまったかよぉ」

「兄さんは直ぐ浮気するからだろっ」

「まぁ、違いないけどなぁ」

　砕けた口調のシンと会話を続けるシンの兄。


…声も……雰囲気も………
…シンくんに…そっくり………
…兄弟だからかもしれないけど………
…やはり…この男【ﾋﾄ】………


　シンの後ろに佇む真希は、シンよりも身長のある兄へと向いていた。

「んで、お前はどっか行くんか？」

「あ、ちょっと人参買いにね」

　シンと会話を続けるシンの兄。

　その視線も、シンの背後で佇む真希へと向けられていた。